ふしぎの国のバード イギリス人冒険家が記した江戸の終焉を漫画で読む

「ふしぎの国のバード」は月刊雑誌「ハルタ」にて隔月連載中の、佐々大河先生による漫画。

イギリス人の女性冒険家・イザベラ・バードが明治初頭の日本を旅する話。

イザベラ・バードは実在した人なんですね。知らんかったわ……。

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あらすじ

明治初期、日本を訪れた世界的に著名な冒険家・イザベラ・バードは開国によって失われていく日本古来の生活を記録に残すため、通訳兼ガイドの日本人・伊藤鶴吉(イト)とともに 未開の奥地である蝦夷ヶ島を目指す……。


1878年(明治11年)にイギリスからふしぎの国・日本にやってきたバードさんは、旅に必要不可欠である通訳を探すために横浜のジェームズ・ヘボン(ヘボン式ローマ字の創始者)宅を訪れます。

日本の文化や生活に精通している凄腕ガイドが旅の成否を握っているため、通訳の面接に気合がみなぎるバードさんでしたが、横浜で英語を話す人々はヨコハマ・ピジン語と呼ばれる特有の方言が強く、面接者20人全員がバードさんの期待に添う人物ではありませんでした。

最後の志願者であるホテルマンはまあまあの英語力でしたが、バードさんの目的地が最北の奥地「蝦夷ヶ島」であることを伝えるとビビって笑いだす始末。

旅の前途に暗雲が立ち込める中、バードさんに声をかけた青年・ 伊藤鶴吉は完璧な英語を話すうってつけの人物。

しかし、紹介状もなく、家が火事で焼けたため身分証明書も持たない鶴吉にヘボン先生は身元不明者を雇うのは危険であるとバードさんを諭します。

そこでバードさんは鶴吉に横浜の案内を頼み判断しようと試みる。

通訳として鶴吉の有能さを目にしたバードさんは命がけの旅の同行者を鶴吉に決めます。

そこで驚愕の事実が発覚!なんと鶴吉は蝦夷に行ったことがあったのだ!

チャールズ・マリーズ氏の通訳として東海岸ルートを陸路で踏破しており、マリーズ氏が現在清国にいるため紹介状を書いてもらえなかっただけという……。

なんてこった!最高に完璧な男じゃないか、鶴吉は……!

こうして、バードさんは鶴吉をお供にふしぎの国を旅する準備が整いました。

ふしぎの国・日本

バードさんの旅の目的

バードさんは「蝦夷ヶ島」に向けて旅立ちますが、この「蝦夷ヶ島」はアイヌの人たちの集落で、古くからの生活スタイルのままで暮らす文字を持たない彼らに会うことを目的としています。

しかも、誰かが通った道ではなく前人未到の西海岸ルートを北上する計画で、横浜をスタートして江戸→日光→新潟→久保田→青森、そして北海道(蝦夷)へと女性の単独行で進む……。

呼んでもいないのに勝手に公使館に集まってきた居留民たちはバードさんの旅路をあまりにも無謀と嘲笑します。

しかし、公使はできる男で「江戸」という呼び名とともにあらゆる土着の風習が消え去り日本の文化は滅びるが、記録には残すことができる。

それはイザベラ・バードにしかできないことだと、旅の期間もルートも完全に無制限の旅行免状(パスポート)で後押しします。

やるな公使!妻もいい女だ!

こうしてバードさんは「蝦夷ヶ島」を目指します。

通訳ガイド・伊藤鶴吉

西洋人の従者をしていた鶴吉は独学で英語を学び、非常に勤勉な努力家です。

また、大阪で鉄道員、米国公使館に勤めるなど職業経験豊富な若者。

料理から洗濯までこなすクールで寡黙な鶴吉は、イケメンで細身ながら腹筋がキレてる目の保養にもなる男。

時折頬を染めたり甘いものに目がなかったり、かわいらしいところもありキュンキュンさせられる……。

そんな彼とバードさんのコンビが見せる絶妙な文化的差異が「ふしぎの国のバード」の一番の見所!

文化的な差異

バードさんと鶴吉の溝が一瞬深まる大半を占めるのが「食事」に関することです。

当時の日本人は肉を食べません。バードさんの旅の道中ともなると庶民は魚でさえ滅多に口にしませんし、味付けがバードさんの好みではありません。

誰だって食事は馴染んだものが一番ですから、バードさんが文句を言う気持ちは大いに理解できますが、なんとなくイギリス人に食事をマズイと言われたらモヤっとする……。

イギリス人は食器洗剤を流さないって噂は真実か?

バードさんが殊更に日本は虫ばかりで不衛生だと口にしますが、「う〜ん。どうだろうな?」日本人は太古の昔から綺麗好きだと思いますよ。

衛生観念の違いは仕方がない。日本人からすると何を踏んだかわからない靴で家に絶対上がりたくない。

長く平和が続いた江戸から開国によって社会情勢が不安定になり、もっとも影響を重く受けたのがバードさんが旅する僻地の人々であったと思います。

彼らは着の身着のままにドロまみれで皮膚病や眼病を患い生活に困窮していて、身なりを整える余裕さえない場面はショッキングで驚きを通りこして切ない……。

日本人が知らない日本の歴史の一部を目にして、同じ日本人である鶴吉が嫌悪感を持っている事にも胸に刺さりました。

また、キリスト教的価値観を押し付けてくる西洋人に嫌な気分にさせられますが、これは前振りですね。

バードさんと鶴吉がカルチャーギャップを越え、お互いに歩み寄っていく過程に彩りをそえているだけで、嫌な奴ほど2人の結束が強まるという……。

バードさんの旅はこれからより過酷さを増していくでしょう。

失われてしまった日本の良き文化とともにほぴっとんも一緒に歩んで行きます。

まとめ

日本が舞台ですので、盗賊に襲われたりする冒険譚あるあるはありません。

日本の文化を残そうと言いながら、ちょいちょい小馬鹿にしているのかな?と感じることもありますが、バードさんが純粋に日本を愛していることが伝わってくるので、応援したくなる漫画です。

ほぴっとんは日本人のくせに日本のことをよく知らないので異世界ファンタジーとして読んでいます。旅の臨場感がハンパじゃないですからね。

「ふしぎの国のバード」は日本の文化を再認識できる冒険漫画!

また、バードさんの目的地であるアイヌといえば「ゴールデンカムイ」が大人気ですね。

本当は一緒にご紹介したかったのですが、実はほぴっとんまだ3巻までしか読んでないのですよ。

「ゴールデンカムイ」のような漫画は続きを待ちきれず、気がそぞろになるのである程度巻数を重ねてから一気読みします。

そういう訳で「ゴールデンカムイ」は後日追記しま〜す。

追記しました!

ゴールデンカムイ|アイヌの埋蔵金を巡るミステリーグルメ漫画!