クジラの子らは砂上に歌う|圧巻の異世界ファンタジー!あらすじと感想

「クジラの子らは砂上に歌う」梅田阿比先生による異世界ファンタジー漫画。

久しくここまで練りこまれた世界観を持ったファンタジーに出会っていなかったので、ジャケのファーストインプレッションで好きじゃないかもと思って後回しにしたことを後悔。

ファンタジー好きなら、まずは押さえておくべき漫画だ!

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あらすじ

砂がすべてを覆い尽くす世界。砂の海を漂泊する巨大船「泥クジラ」。

船の記録係の少年・チャクロは、外の世界に憧れを抱きつつ、外界から閉ざされた「泥クジラ」で仲間と穏やかに暮らしていた。

そんなある日、チャクロは流れ着いた廃墟船の中で1人の少女と出会うが…。

クジラの子らは砂上に歌う

「泥クジラ」の独特な文化や生活様式が圧巻!

異世界ファンタジーとしての世界観は、ほぴっとん的には完璧。

さらに「泥クジラ」の存在が謎に包まれている点や多くの秘密が伏せられている点がミステリータッチで、強烈に惹きつけられる漫画だ!

ストーリー展開

果てのない砂の海を漂流する「泥クジラ」。(なんとなくハウルの城っぽいフォルム)

「泥クジラ」の住人たちは513人で、そのうちの約9割は「印(シルシ)」と呼ばれる短命の能力者が占める。

「印」は感情が発動源といわれる「情念動(サイミヤ)」を使うことができ、サイミヤを使うと「念紋(アウラ)」と呼ばれる光る模様が浮かび上がる。

一方、無印のわずかな人々は長寿で、「泥クジラ」のリーダーとして生きていく。

「泥クジラ」の記録係であるチャクロ(過書の病=ハイパーグラフィア)は、過去の記録が残っていないために、この世界の謎に疑問を感じており、少しでも未来に役立てばと熱心に記録をつけていた。

そんな中、約半年ぶりに島が流れ着いてきた!

偵察隊に選ばれたチャクロは仲間たちとともに砂の海に出ると、「泥クジラ」によく似た建造物を発見。

無人と思われたその廃墟船で衰弱した少女・リコスと出会ったチャクロは、彼女を「泥クジラ」に連れて帰るが……。

萌える設定が目白押し!

「クジラの子らは砂上に歌う」は独創的な世界設定が素晴らしい漫画だ!

この砂に覆われた世界観がMADARA 赤」みたいで萌える……。

感情に起因する念動力を持った「印」を持つ人たちによって、この砂だらけの世界での生活が可能になっており、極力「感情」を表に出さないようにとのルールがある。

そんな「泥クジラ」の住民は外の世界を全く知らない。

外の世界の人間に会ったこともない。

そんな中で初めて目にした少女・リコス。

彼女の存在が「泥クジラ」の運命を大きく変えていく……。

また、「泥クジラ」随一のサイミア使い・オウニが良い!(カッコイイし…)

一見、平和そのもの見える「泥クジラ」においての反乱分子、「体内モグラ」一派のリーダーであるオウニは、短命であるがゆえに外界に出たいという思いが強い。

住民にとってオウニの考えは異端。そのため投獄されていたのですが、どうやらリコスだけでなく、長老たちも外の世界の秘密を知っている様子。

やがて、感情なき兵士によって閉じた楽園「泥クジラ」の平穏な日々がこじ開けられていく……。

否応無しに殺戮の嵐に巻き込まれる「泥クジラ」の人々。

そして、我々がこの物語を目にすることができるのは、書くことに取り憑かれた記録係・チャクロが何があっても自分たちに起こったことを書き続けたからに違いない……。

まとめ

「空挺ドラゴンズ」を読んだら「クジラの子らは砂上に歌う」も読みたくなってしまった……。

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多分、「風の谷のナウシカ」っぽい雰囲気が「クジラの子らは砂上に歌う」にもあるからでしょう。

ストーリーや世界観は全く違いますが、過酷な環境で生きる人々が突如巨大な外圧によって世界の謎に直面するあたり、非常に良い意味で共通する部分があり、とめどなく期待させられます。

「感情」の機微が物語のベースとしてあるので、淡々とした日常から死が満ちた世界への変貌具合がハンパではなく、グッと引き込まれてしまう……。

「クジラの子らは砂上に歌う」はお手軽・胸キュン・ファンタジーではないので、浮かれポンチキな気分の時に読む漫画ではありません。

幻想的でありつつ、シビアなファンタジーが読みたい時におすすめ!