リバーシブルマン|グロレベル最恐の漫画なのに奥深い!あらすじと感想

「リバーシブルマン」ナカタニD.先生によるバイオパニックホラー漫画

「読まなきゃよかった……。」

姉にそう吐き捨てられてしまった最悪のグロ漫画「リバーシブルマン」。

(この記事を書くために机に置きっぱなしにしていたほぴっとんが悪い)

凄まじいグロ描写よりも胸糞が悪くなるようなストーリー展開に、ほぴっとんでさえ膝を折られてしまった……。

しかし、読めば読むほど本当に恐ろしいのは人間だというリアルさが刺さる良作ですぞ!

4巻が発売されるとは思っていなかっただけに、嬉しさで長文となっています……。

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あらすじ

ウラガエリと呼ばれる変死体。

それは巷でまことしやかに囁かれる都市伝説……。伝染病説や臓器売買説など噂が一人歩きするが、その真相はある1人の少女だけが知っていた……。

リバーシブルマンの魅力

ストーリー展開

「リバーシブルマン」は人間が脱ぎ捨てられた服のようにウラ返しになって発見されるという猟奇的な事件が相次ぐテロルな設定。
通称「ウラガエリ」と呼ばれる事件には、臓器売買・人体実験・感染症などなどアンダーグラウンド臭がプンプンする怪情報が飛び回っていた。

一方、とあるクラブの周辺では包帯ぐるぐる巻きの女子高生がいるとの無差別メールが話題になっていて、どうやら彼女は全身が性器な女だという噂。

そんな中、クラブに現れた女子高生・北原琉奈

彼女の正体とは……??

肉片飛び散る惨劇!

「リバーシブルマン」はあらすじが必要な漫画じゃなかった……。

とにかく、琉奈が姉の仇をとるために「ウラガエリ」を自ら阻止し、893のロクたちと行動をともにして報復に打って出る話なのだ。

(「ウラガエリ」現象はかなり練りこまれた設定なので、作中で堪能してほしい。)

身体が裂けて内側から(欲望に忠実な)本当の自分に進化する「ウラガエリ」になり損ねた琉奈は、腹に「ウラガエリ」用の出口となる大きな傷がある。

それを医療用のホッチキスで仮止めしていたのだが、ヤブ医者に人間用チャックをつけてもらう。(プッ!)

表裏両用人間=リバーシブルマンとなった琉奈

自分の身体の中にどでかすぎる銃器を隠し持ち、仇相手に壮絶なガンアクションを披露!

肉片飛び散る惨劇となっております……。

この仇の男がゲス極まりない輩で、むしろとんでも設定であるチャックからの銃に拍手喝采できる。

おそらく、「リバーシブルマン」を好む方は、こういうセンスがツボに入るだろう……。

グロを上回る欠如ぶりに凍る

また、2巻からが「リバーシブルマン」の真骨頂!

20日間に渡る監禁暴行。20年間に及ぶ母親からの精神的虐待。

そんな女・梶井マリアがウラガエル時、凄惨な報復劇が幕を開ける……。

尋常ではないヘビーさでもって語られるマリア編は正直目を覆いたくなるシーンばかりだ。

正義の超越者・女神テミスとなって性犯罪者を粛清するマリア。

自らを地獄に落とした暴行者たちに数倍返しで私刑を敢行。

「反省の色を見せないこんなヤツらにこそ痛みを教えてやれ!」と簡単に話が進めばね、苦労はない……。

彼女の復讐は当然の権利で法律の不備に問題があるという展開だと清々しく読めるのですが、マリアが男たちから受けた地獄の責めよりも、司法試験を優先するという母子の異常な関係性がエグイストーリーに背筋が凍るのだ……。

「リバーシブルマン」でウラガエル人は周りの人を含め、みんな何かが欠如していて(だからウラガエルのだろう)、マリアが悪いわけではないのにたたみかける理不尽に窒息しそう。

クライマックスは温かみがあるものの、ハンパなく重みのある漫画。

心して読まねばならぬ……。

さらに「ウラガエリ」を利用しようと暗躍する組織があったり、復讐劇以外にもサスペンスタッチで楽しめる展開が高評価!

ココがヤバいよ…!

ヤバすぎる漫画であることは間違いがない「リバーシブルマン」……。

ご存知の通り、ほぴっとんは婚期を逃してしまったため開き直り、グロキチな漫画の収集を趣味(もはや生業)としているが、そんな中でも群を抜いてエグい漫画が「リバーシブルマン」だ!

よって、グロ耐性がかなり高いはずのほぴっとんが吐き気を催すレベルということは相当なモンですぞ。

「リバーシブルマン」は目に痛いスプラッタ系の漫画としてもかなりの難度だが、それ以上に精神的な歪さが際立つ漫画で、脳髄を揺さぶられるような感覚に陥る。

あまりの凄惨さに「マジで読むんじゃなかった。不快さしか残らん漫画よ」と後悔したものの、ホルモンバランスを乱してしまったため、ついうっかり読み返してしまいましてね……。

すると、「リバーシブルマン」は「復讐を描いているのではない。愛を描いているんだ」と気づきました。

マリアに(報復のため)痛みのストーリーを伝授した肆矢(よつや)なんて、不謹慎ですがまさしく愛の男でしたよ。

欠落した愛情が向かう矛先に「ウラガエリ」なる現象があって、鬱屈した精神状態から脱却できる。

本当に内臓をブチ撒いてウラガエルだけにグロ描写に目がいきがちですが、何をもって臨界点を突破し「ウラガエリ」となったのか?非常に細やかな心情が描かれているので奥深いなと感じました。

現実的には身体がひっくり返るような進化を急激に遂げるのはありえない話でしょうが、精神的に「ウラガエリ」しちゃっている人はもうすでに増加していますね。

毒親をはじめ、モンスターペアレントやモンスタークレーマーが今の世には蔓延っていますから、「リバーシブルマン」を読むと、愛情とモラルの欠如には関連性があると感じるし、非常に難しいテーマに挑んでいて読み応えがある漫画だ。

まとめ

同じく復讐をテーマとする漫画でグロキチな漫画といえば「善悪の屑」ですね。

「リバーシブルマン」は「善悪の屑」ほど「目には目を」的なスカッと感はあまりない。ジワジワと「ウラガエリ」が増えている恐怖に精神を病みそうになる漫画だ!

しかし、グロさだけではない人間の精神性が説かれていて、ある種の興味深さに浸れる。

来世での因果応報などは生ぬるい!非道な輩たちを今すぐ奈落の底に突き落としてやれ!という漫画を所望する方にはおすすめ。

「リバーシブルマン」は声高におすすめできる漫画ではありませんが、読んで後悔するか?読まずに後悔するか?決めるのはあなた様自身です。