竜のかわいい七つの子 竜の小塔などおすすめの話・あらすじと感想!

「竜のかわいい七つの子」は「ダンジョン飯」で、このマンガがすごい! 2016オトコ編1を受賞した九井諒子先生のファンタジー漫画。

この表紙はつい持って帰るよな〜!「ダンジョン飯」つながりで手に取った方も多いのでは?

今回はほぴっとんが特に読んでほしい話をご紹介いたします。

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竜のかわいい七つの子

「竜のかわいい七つの子」の中で一番のお気に入りが「竜の小塔」です。これは傑作漫画だ!

竜の小塔 あらすじ

戦争中の両国の関所の塔に竜が巣を作ってしまった。凶暴化した竜に近づけず、両国は卵が孵るまで停戦状態に陥ってしまう。

山国には塩が足りず、海国では野菜が育たない。ある日、竜の巣の下を唯一通過することができる海国の男サナンが山国に侵入する。サナンが物資を交換するため両国を行き来するうちに山国の少女・ユルカは彼を待ちわびるようになる。

そんな中、竜の子の孵化が近づき再び戦の気配が漂うが……。


クライマックスの落とし方が非常に巧みな話。

戦時中ですから、話のトーンは重たい上に淡々と進みます。それが微妙にズレていて、わかりにくい例えですが、賽の河原で幼い子が積み上げた石のようなソワソワ感のある漫画。本当にうまく説明できませんが、妙なテンションに陥るストーリー展開なのですよ。

この話で手に汗握るか?とつい不思議に思うほど……。

人間たちの奇妙な一体感と竜の無関心ぶりが「あっ!現実ってそうよね」という感動をあっさり置いてけぼりにするところが虜になるポイント!

また、「狼男症候群」を発症した少年の話も面白い!

狼は嘘をつかない

WWS(狼男症候群)という病気の子供を持った母親の育児エッセイマンガからスタートし、その後息子が成長して様々な苦悩にぶち当たる日常をさらっと描いている。


狼男症候群という非現実的なキーワードと少年の日常をうまく融合させた話。

ストーリー序盤の育児エッセイが素晴らしくて、うっかり九井諒子先生の子どもが狼男症候群なのかと錯覚させられるほどのリアリティ。「母親と息子の関係って大変よね」と思わず口に出してしまいましたよ。

狼男という突飛なアイデアをここまで現実的に表現するのは難しいと思います。非常にセンスが光った漫画!

竜の学校は山の上 九井諒子作品集

「竜の学校は山の上」は九井諒子先生の初単行本!

竜の学校は山の上

日本で唯一「竜」についての専門学部「竜学部」がある大学が舞台で、絶滅危惧種である竜は政府の補助金で生きながらえているというシュールな設定の話。

「皆さんの就職先はありません」という厳しいお言葉からスタートする「竜の学校は山の上」は補助金なしになんとか竜たちが生きていけるように生徒たちが奮闘する一方、現実という壁にぶち当たるリアルをこれでもかというぐらい正面切って描いています。

イソップ物語のような風刺的展開が鋭く胸に刺さる漫画!

現代神話

猿人と馬人(ケンタウロス)が共存する世界をユーモアたっぷりに描いた「現代神話」も面白い。

普通の人間と強靭な体力を持った馬人が当たり前に生活する世界なら、労働規制が問題になるよね!という斜め上からの問題提起……。

猿人の夫と馬人の妻、猿人の女性上司と馬人の部下という2組の視点を通して奇妙な世界観の微妙な距離感をうまく表現している漫画。

井諒子作品の感想

「竜の学校は山の上」で九井諒子先生を知って、「竜のかわいい七つの子」「ひきだしにテラリウム」と読みました。

「ひきだしにテラリウム」が出版された際に、漫画通たちからこぞって「もっと評価されるべき漫画」と讃えられていましたが、ほぴっとんなどは悠長に構えていましたよ。

「どうどう。まあ落ち着きなさいよ。あなたたち」

これだけ短編を描く力量がある作家さんが底辺這うわけないでしょうが!

「そのうち長編描くからお待ちなさいよ。あなたたち」

ほぴっとんごときが何を上から目線でほざいているのか?「竜の学校は山の上」を読んでおかしなテンションになっていたのでしょう……。

祝!「ダンジョン飯」連載!

非常に楽しみにして読んだだけに残念ながら「これじゃないんだよ」感が強かったのです。

ポテンシャルの無駄遣い……。

「あなたはもっと描ける子でしょうが!」

もう少し温まるまで待とうと思っていたところに、このマンガがすごい! 2016オトコ編1位受賞!

「はッ?」となりましたよ。思わず……。

すぐさま「ダンジョン飯」を読み返しました。面白いですよ。もちろん面白いです。

しかし、えらい小粒な「すごい」だなと正直思いました。

受賞するなら「竜のかわいい七つの子」じゃないのか?

あれ?ほぴっとん、なんか世間とズレているのかしら?真剣に悩んでしまいましたよ。

「ダンジョン飯」が評価されるに従って悲しい気分に陥る……。

なまじ才能がありすぎると勝手な期待に苛まれるのですね。

九井諒子先生はオリンピック級のアスリートと同等の凄さということの証明でもあります。

まとめ

同じ役柄を突き詰める役者と役ごとにカメレオンのように変化する役者。

九井諒子先生は間違いなく後者。テーマによって「これ描いた時期違うのかな?」と思わされるほど見事に世界観を描き分けることができる稀有な存在。

淡白な絵柄がむしろ男女問わずに幅広く受け入れられる要因だと思います。

基本的にほぴっとんはファンタジーって幻想世界に浸りたいときに読みますが、九井諒子作品は現実感を感じたいときに読む漫画です。

「竜のかわいい七つの子」は超人気作ですしね。もはやほぴっとんがおすすめする必要もないか……。