狼の口〜ヴォルフスムント〜|密航者vs悪代官の壮絶な関所バトル!

「狼の口〜ヴォルフスムント〜」久慈光久先生による漫画。全8巻。ハプスブルク家による抑圧に森林同盟三邦が抵抗する激しい戦いが描かれた話。関所を越えよう→失敗→処刑との流れ。キツイ拷問シーンが醍醐味の漫画ですのでグロ度高めです。

グロいシーンが苦手な方は引き返してください!

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あらすじ

14世紀初頭、アルプス地方。イタリアへと通じるザンクト・ゴットハルト峠には、非情な番人が守る関所があった。難攻不落をもって知られるその場所を、人々はこう呼んだ。ヴォルフスムント―――“狼の口”と。

久慈光久 エンターブレイン 狼の口 ヴォルフスムント 帯より

狼の口 ストーリー展開

「狼の口」の舞台はドイツとイタリアを最短距離で結ぶ南北交通の要衝にある関所、通称=“狼の口”

超はしょって「狼の口」のストーリを説明すると、超重要な峠がオーストリア公ハプスブルクに占領されてしまったので取り戻そうぜ!という話。

かねてよりこの峠の交易によって利益を手にしていた「ウーリ」「シュヴァイツ」「ウンターヴァルデン」の3自治邦は盟約者同盟を結成し対抗したが、ハプスブルク家の軍勢に敗れ圧政が敷かれてしまう。

盟約者同盟の闘士たちは地の利を活かして抵抗を続けるも、オーストリア公が峠に堅牢な砦を築いたことで自由を奪われてしまうのだ。

これが「狼の口(ヴォルフスムント)」と呼ばれる関所です。

「狼の口」のがあるせいで、盟約者同盟の闘士たちは自国から出ることができなくなってしまった。

また、この峠というのが厄介な場所で険しい山々がそびえ立つアルプス山脈にあり、「狼の口」を通らないと行き来できない。

もちろん、ハプスブルク家の連中も峠が要であることは重々承知しており、盟約者の武装蜂起を恐れているワケで国境を封鎖し唯一の出入り口である「狼の口」に代官をおいて通行者を厳重に監視させます。

独立を勝ち取るために戦う気満々の盟約者同盟の闘士たちだが、武器が足りない上に軍資金も尽きてきた。

なんとしてもイタリア側に取り残されている領外の闘士たちと連携をとり戦いの準備を進めたいが、そのためのは「狼の口」を越えねばならぬ……。

しかし、「狼の口」に控えるのは冷徹非道の代官・ヴォルフラム(ドS

盟約者たちは民間人を装って関所をくぐり抜けようとするが、悪魔的な洞察力を遺憾無く発揮するヴォルフラムの魔の手から逃れられないのだ。

命がけで突破を試みる。→ヴォルフラムに看破される。→惨たらしく処刑される。

「狼の口」はそんな密航者たちと鬼畜な悪代官の壮絶なやりとりが描かれた漫画だ!

ヴォルフラムが主人公じゃないか?

ハプスブルク家の圧政に屈辱の日々を耐え忍ぶ3自治邦の面々……。

そんな中、領外から同士を率いて戻るために峠の向こうの町・ルガノへ関所を通らずに行くという猛者が登場。

アルプス一の山男・ヴィルヘルム・テルとその息子でアルプスNo.2の山男・ヴァルター

ヴィルヘルムはかつて幼い息子の頭上にリンゴを乗せ、80歩離れたところからクロスボウで見事リンゴを撃ち落としたという伝説を持っている英雄。

彼らはなんとアイベックスしか通れないような険しい雪の積もった山をクライミングで越えようとするが……。

普通、ヴィルヘルム・テル(ウィリアム・テル)が主人公だと思うでしょう。

そうは問屋が卸さないのですよ。「狼の口」は……。

密航者たちvsヴィルヘルムの心理戦+拷問がメインのストーリーであるため、毎回登場するのはヴィルヘルムで、各話のまとめもヴィルヘルムが担当するという……。

薄ら笑いがムカつく御仁だが、やり手ででしょう。

盟約者たち目線でストーリーが展開するのだが、ヴィルヘルムの多彩な処刑法によって死亡するので次第に独立云々よりも「ヴィルヘルムを抹殺せよ!」と彼のことばかり考えてしまいますよ……。

狼の口 感想

久慈光久先生には申し訳ないが、ほぴっとんの好みの絵柄ではなかった……。

筆圧が強すぎて、線が太い。

しかし、骨太な線はテーマにあっていると思います。舞台も中世ヨーロッパですし甲冑や拷問具などはこういう勢いのある線の方がハマる。

まあ、「グロ推しの漫画ね。はいはい、グロいグロい」と思っていたのですが、ヴィルヘルムがあの手この手の拷問で密航者をいたぶり希望を撃ち壊すところがいっそ清々しいレベルになってきましてね。

「薄ら笑いの張り付いたサディストを地に這わせてやれ!」と言わんばかりに密航者を応援してしまうのです……。

防戦一方だった盟約者同盟の闘志たちが攻めに転じるあたりの興奮といったら、読んでいて額に汗が浮かぶほどですよ。

「狼の口」の戦いの結末が現代の歴史にまで受け継がれていると思うと感慨深くなる漫画!

女性受けはよくない漫画だろうと思いますが、何事も挑戦だ!読むと病みつきになるかもしれん……。

もっと世界史歴女が増えないかな?

まとめ

「狼の口」の舞台は「辺獄のシュヴェスタ」と同じ神聖ローマ帝国です。

神聖ローマ帝国は15世紀以降になるとハプスブルク家が帝位を世襲し独占するので、「狼の口」の時代だと超イケイケでパワーがあったでしょうね。

序盤はやられっぱなしの同盟の闘士たちですが、終盤になると押せ押せになります。非情な殺戮のオンパレードの中で、不謹慎なのですが痛快なのですよ。

「もっと、やったれ!」と叫びそうになるぐらい……。

鬱なストーリーで脱落しそうになるところを堪えると、希望が見えてきます。

自由と独立を勝ち取るためには綺麗事なんていっていられない。一切容赦のない描写が胸に迫る漫画!