意識不鮮明に陥るほどの魔力!諸星大二郎・妖怪ハンター シリーズ

異端の考古学者「稗田礼二郎」が紡ぎだす伝奇ロマンの魅力は一言で言うと、イマジネーションの臨界点を突破した異界の神々たちの描写に尽きる。

「自己紹介を兼ねて「ほぴっとん」選定の傑作神7漫画」でも触れましたが、諸星大二郎先生に傾倒しているほぴっとん「稗田礼二郎のフィールドノート」をまとめてみました!

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稗田礼二郎の魅力

「妖怪ハンター シリーズ」は日本古来の神話や説話を題材とした作品で、独自の解釈で展開する世界観を描く諸星大二郎先生の代表作である。

「妖怪ハンター シリーズ」の主人公・稗田礼二郎は5頭身で瞳孔が開き気味の瞳にウェットなロン毛をなびかせる孤高の存在。

年齢不詳、オールブラックの装い、あだ名は妖怪ハンターだが特に妖怪の捕獲を生業とはしていない。

K大考古学教授であるが、お世辞にも現実世界で女子がキャーキャー群がるタイプの先生ではないだろう……。

(「闇の客人」で井上淳哉先生が描いた稗田礼二郎はイケメンだったので諸星大二郎先生の中で稗田は眉目秀麗な若者なのかもしれんが……?)

ここが宗像教授との違いでもある……。

作画のせいかもしれないが、稗田にはダークな雰囲気が漂うのだ。

悪さをしているわけでもなく熱心に研究に没頭しているはずなのに、なぜだろう?

宗像教授のフィールドワークは同行したいが、稗田礼二郎の発掘作業は木陰からそっと見守りたい。

母性本能というよりは近づきがたいオーラを放っているからだ。

それなのにほぴっとんは稗田礼二郎の一挙手一投足から目が離せない。

女子は危険な香りのする男に弱いのよ!

「妖怪ハンター シリーズ」まとめ

A5版で全部持っているのに、 新刊が出たと思って「地の巻 」を買ってしまった。うぉぉ〜!

でも「海竜祭の夜」の表紙と目?があって(空洞なのにな)手放せないんだ!

・妖怪ハンター

・海竜祭の夜

・天孫降臨

・黄泉からの声

・六福神

・妖怪ハンター 地の巻・天の巻・水の巻

(*注意!妖怪ハンター 地の巻・天の巻・水の巻は文庫版です。上記の作品を収録しています。)

・稗田のモノ語り 魔障ケ岳 妖怪ハンター

・闇の鴬 「書き損じのある妖怪絵巻」収録

・妖怪ハンター 稗田の生徒たち(1) 夢見村にて

海竜祭の夜

ほぴっとんが超絶的に面白いと感じる作品をご紹介します。

No.1は自己紹介を兼ねて「ほぴっとん」選定の傑作神7漫画でもご紹介した「生命の木」ですが、表題作の「海竜祭の夜」も傑作です。(地の巻にも収録されています)

自己紹介を兼ねて「ほぴっとん」選定の傑作神7漫画

あらすじ

平家伝説が残る加美島で行われる風変わりな「海竜祭」に興味を持った稗田礼二郎は船で島に渡る。到着そうそう3日前から行方不明であった勝吉が亡くなったと知るが、どうやら勝吉は見てはならない「海竜祭」を覗いて頭がおかしくなってしまったのだと聞く……。

こういう絶対に見ちゃダメなヤツの真実に迫るのが稗田礼二郎の仕事だ。

にわか検校の「平家物語」によって始まる「海竜祭」

海に向かって連なる鳥居。

あんとく様〜!

「海竜祭」の謎を解き明かした時に残されたものは何もない。

だんだん怪しさを増す祭りは時代とともに真意が薄れていく。

傍観者としての稗田の存在感がなんとも切ない話です。

闇の客人

「地の巻」からばかりで申し訳ないが、どうしても「闇の客人(まろうど)」は外せない。

あらすじ

過疎化が進んだ某県の大鳥町は町興しのために観光事業の目玉として100年近くも前に断絶した古い祭りを復活させた。

稗田礼二郎は以前「神迎え神事」の調査で村を訪れていた縁もあって協力を申し出たが、祭りはより観光客にアピールするために歪められていた。

そんな中、ミス大鳥に選ばれた少女が公衆の面前で不審な死を遂げる……。

ほぴっとんは「闇の客人」の真骨頂?とも言える「鬼踊り」でウエストのくびれを作ろうと努力していまして、よちよち歩きの姪っ子が真似をしてついてくるのがかわいらしかったので伝授してあげたのです。

そしたら、ほぴっとんが知らぬ間に母が近所の神社に姪っ子を連れて行ってしまったのだ。

「鳥居をくぐったのか?ばかたれ!異界の門が開いとったらどうする!!」

ついマジギレしてしまい、母との関係に少し溝ができてしまった……。

私事ですいませんね。既読の方にしかこの恐怖と怒りは伝わらないでしょう……。

ともあれ、太古の奇祭というほぴっとんの好きなテーマをミステリー以上の怪奇にする諸星大二郎先生の手腕は見事!

大昔から伝わってきたものというのは、やっぱり大事だよと思わされます。

「地の巻」=恐ろしい子

それにしても「地の巻」はすごいな。

「地の巻」に収録されている作品

 超絶面白い ・  かなり面白い】

 黒い探究者
 赤い唇 
 生命の木 
 海竜祭の夜 
 ヒトニグサ 
 闇の客人 
 蟻地獄        
 闇の中の仮面の顔 
 死人帰り

面白い話しかないじゃないか……。

BUNCHコミックスから出版されている井上淳哉先生による「妖怪ハンター・ 闇の客人」も読んでおくべき!

ちょっとお茶目な稗田礼二郎がかわいいから、あと絵がうまいから……。

淵の女

「淵の女」A5版の(ウルトラヤングジャンプコミックス)「六福神」と文庫版の「妖怪ハンター ・水の巻」に収録されています。

あらすじ

峠を越えた所で道に迷った稗田礼二郎が出会ったのは藁人形を持った女。

彼女は稲の害虫や疫病・厄災などを人形につけて送り出す「虫送り」に使われたあと置き捨てられた古い人形を川に流しケガレを祓っていた。

その不思議な行為は10年ほど前に娘を河童に取られてしまった供養のためでもあった。

その後、彼女のアドバイスでたどり着いた村は河童が棲む村で、興味を持った稗田は村を探索するが……。

なぜか爆笑の不思議

河童なんぞ珍しくもない村で目の焦点があっていない子ども……。

水遊びの好きなチヨ坊

キュウリが好きなしん坊

なぜだろう?ちょっとしたホラーなのにチヨ坊としん坊から目が離せないんだ!

傑作だらけの「妖怪ハンターシリーズ」の中で特筆すべき作品が多々あるのになぜ「淵の女」を紹介するのか?

疑問でしょうとも。わかりますよ。

「淵の女」はとても短い話なのですが、闇から得体の知れない気配を感じるも、狙われているのはおっさんの「尻子玉」というシュールさがツボに入ってしまって……。

起伏のないストーリーなのに大爆笑してしまう。

やはり諸星大二郎先生は天才だ!!

稗田のモノ語り 魔障ヶ岳

魔障ヶ岳の山中にあるという古代の祭祀遺跡「天狗の秘所」を調査に訪れた稗田礼二郎は峠で道に迷った先に籠り堂を発見する。

稗田は堂で一夜を明かすことになったが、その夜調査に同行していた赤井や山伏たちに次々と妖異が襲いかかる。

「謎の女」、「天狗の宝器」、そして「名前のないモノ」の謎とは……。

「魔障ヶ岳」は「妖怪ハンターシリーズ」としては珍しく連作となっていて、それだけに読み応えがあり怪異を思う存分楽しめます。

岩田 狂天という(モヒカンにサングラスの宗教団体「狂天騒神会」の主催 )パンチの効いたキャラクターも登場し、ラップで託宣をしてくれます。

ほぴっとんはこういうキャラが大好きだ!

闇の鴬

「闇の鴬 」は「妖怪ハンター」と冠されてはいませんが、「書き損じのある妖怪絵巻」に稗田礼二郎が登場します。

「書き損じのある妖怪絵巻」は知り合いがオークションで手に入れた妖怪絵巻を鑑定してほしいと頼まれる話で、普段の「妖怪ハンター」とはテイストが違っていて楽しめます。

また「それは時には少女となりて」では妖怪ハンター「六福神」などで活躍した大島 潮が高校生となって海からとんでもないものを持ち帰ってしまう話が描かれています。

「闇の鴬 」に収録されている作品の中では「人魚の記憶」「涸れ川」が特に素晴らしい!

(「闇の鴬 」は全ての作品が面白いです)

夢見村にて 妖怪ハンター 稗田の生徒たち (1)

表題作「夢見村にて」は「天孫降臨」に登場した天木 薫と末加の兄妹が夢を売り買いする奇習が残る夢見村で奇妙な体験をする話。

加えて「悪魚の海」は「黄泉からの声」「六福神」に登場した大島 潮と渚2人が辺鄙な漁村に伝わる海女漁の闇を目撃する話。

およそ10年ぶりの作品でありがたい限り。

しかし生徒たちがメインの話なので稗田礼二郎がちょこっとしか出てこない。

ほぴっとんは稗田礼二郎のファンだから悲しい……。

諸星大二郎が神たる所以

大風呂敷を広げるのはうまくても終着駅で迷走しちゃった漫画は多々ある。

しかし、諸星大二郎先生はK点を大きく超えても着地をピシッと決めてくれる。

オチのつけ方のセンスが光りすぎて、ほぴっとんなどは目眩に襲われることもしばしばあるのだ!

ただ、人物の描きわけに難があり、あれ?あの話はどの巻に収録されていたっけ?と探し回ることもしばしばある……。

そしてそのたび「また全部読まされちゃったわ」と思うのだ。

目的の漫画を発見しても読み続けてしまう魔力!

数日間は意識がフワフワしたまま諸星大二郎先生の深みにはまるほぴっとん。

諸星大二郎先生は排他的な神だ!

興味本位の人間は寄せ付けない。

それゆえ、「諸星大二郎先生の素晴らしさが理解できないなんてね……。」というちょっとした優越感に浸らせてくれる。

これが、諸星大二郎先生作品愛好者の幸福なアイデンティティだと思います。

まとめ

こうして読み返してみると、諸星大二郎先生の画力がややUPしていることに驚かされた!

今や動きのあるロン毛が稗田礼二郎のトレードマークだが、「妖怪ハンター・プロローグ」では「千と千尋の神隠し」のハク様もびっくりのオカッパ頭だ。

でもこのセンター分けのオカッパの方が描くのが難しいと思うのだけど……。

こうして我々が抱く通念をさらっと一周して追い越してしまうところが諸星大二郎先生の唯一無二の才能なのだ!