「ハピネス」は「惡の華」で知られる押見修造先生による吸血鬼漫画。
もはやジャケ職人。(最大級の賛辞)手に取らずにはいられない印象的な表紙を描くことに定評がある押見修造先生が「ハピネス」でまたやってくれました。
「ハピネス」は絵だ!絵で読め!
心理描写を絵で堪能。これ漫画の醍醐味。他のエンターテイメントでは味わえない漫画のよさですよ。
あらすじ
岡崎誠はある夜、謎の少女に襲われ首元から血を吸われる。「このまま死ぬ? それとも、同じになる?」決断を迫られた岡崎は「死にたくない」と渇望し、彼女同様血を求める存在へと変わる。
幸せでも、不幸でもなかったありきたりな日常は、跡形もなく壊れてしまった…。
冴えない高校生だった、岡崎を待ち受ける運命とは……!?
ハピネスの魅力
絵が良い。とても良い。カオスな絵を見るだけでお腹いっぱい!
ストーリ展開
「ハピネス」はパシリ扱いされている高校生・岡崎誠が吸血鬼になる話なのですが、押見修造節というか独特のテンポで描かれています。
正体不明の美少女にごっそりと血をすすられた岡崎は病院で目覚めると、まぶしさと猛烈な渇きに襲われる。
退院後、復学するも血の匂いに敏感になり体調が悪くなってしまう。(女生徒の股ぐらからの出血はどうにもなりませんな)
感情を制御できず、パシリの主犯格の男・勇樹の鼻にクリーンヒットをキメてしまった岡崎。
勇樹の鼻から溢れ出す血液を見て「なめたい」という欲求を抑えきれず、その場を遁走し水道水をガブ飲みしてやり過ごすが、自分自身が人在らざるものへと変わってしまったことにショックを受けるのだ。
この岡崎の渇きを表現する押見修造先生の絵に引き込まれます。
世界が歪んで見えるほどの渇望感。
人間の理性と吸血鬼の本能に苛まれる心の中の葛藤がすざまじい。
そんな中、助けを差し伸べてくれた同級生の五所さん。
岡崎に初めて女の子の友達ができ、いじめっ子だった勇樹とその彼女・白石とも親しくなるが、岡崎は驚異的な身体能力に覚醒する。
岡崎はどうなってしまうのか?
そして、岡崎を襲った少女は一体何者なのか?
1巻の段階では全く予想もつかない……。
ハピネスの感想
吸血行為を嫌悪し、頑なに我慢を貫く岡崎。
比べたらダメでしょうが「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のブラッド・ピット様ですな。
若かりし頃のブラピの麗しさときたら、めまいがするほど……。
「ハピネス」は吸血鬼モノとしてはスタンダードなストーリー展開。
テーマとしては、吸血欲のジレンマに重きを置いている漫画です。
また、主人公の岡崎はタダでさえ色々とこじらせている多感な時期に、吸血鬼となってしまい平穏な日常から否応無く脱却してしまった少年。
こういう人物を押見修造先生は非常に巧みに描くので、共感させられます。
ただ、1巻の段階ではポカン状態……。
謎の少女・ノラは2巻のクライマックスまで出てきません。
ほぴっとんはかわいいノラを目当てに読んでいたので、ちょっと残念。
「ハピネス」はなんともテンポのゆったりとした漫画で、正直展開はドン亀だ。
内容は暗くて好みだが、ほぴっとんの好物である鮮血の描写が物足りない。
1巻の段階では続きは買わないかもと思っていたのに3巻のジャケを見ると買わずにはおれん。
押見修造先生め!なぜそんなに人の心をざわつかせる表紙を描くのか?
そして、ほぴっとん好みのダークさが際立ってきて平穏な日常が狂っていく様子が巻を追うごとに増してきました。
こうなったら最後まで付き合う覚悟を決めましたよ。
テンポの問題でどちらかというと、まとめ買いで一気に読むことをおすすめ!
こんな方におすすめ
吸血鬼好きの方は押さえておくべき漫画。
「東京喰種」や「ポーの一族」が好きな方にはフィットすると思います。
ただ、ほぴっとんは押見修造作品の中では「惡の華」よりも「アバンギャルド夢子」のようなアッパーなこじらせ感が好みですので、突き抜けたインパクトのない「ハピネス」は鮮血同様物足りなさは残る……。
押見修造先生の漫画は展開が読めないので、今後「東京喰種」方面に進むか「ポーの一族」方面に進むかで、また感じ方は変わるだろう。
今のところ、グロ度が低めですので女性の方も読みやすい漫画。
まとめ
鮮血のダークヒーローと銘打たれていますから、そのうち岡崎がかっこよく見える瞬間が訪れるのでしょう。
今のところ地味なメガネ男子・岡崎が吸血鬼となり、今後どう変化していくのか?
(↑こういう男子を描かせたら天下一品)
非常に先の展開が気になる漫画!