「秘密 ―トップ・シークレット―」でお馴染みの清水玲子先生による「竹取物語」をモチーフとした近未来SFサスペンス漫画。
主人公の晶を含め美しいキャラが目白押しの作品。全27巻。文庫全14巻。完結済み。
あらすじ
赤ん坊のときに竹林に埋められていたところを発見されたという謎の過去を持つ少女・岡田晶は過去を思い出すことができない。ある日、突然2人組の少年に連れ去られ、妖しき天女伝説が残る南海の孤島・神淵島へと連れて来られるが……⁉︎
輝夜姫の魅力
愛憎過多な恋愛面、殺されることが前提の世界設定、ヘビーすぎるストーリー展開とハラハラさせられっぱなしの漫画!
急転直下なストーリー展開
2人の少年、由と碧は晶の幼馴染で、米軍が主催する神淵島(カブチ島)で行われるアンダーグラウンド・キャンプ(略称UG)に連れて行くために晶を誘拐した。
しかし、目的はUGではなくキャンプが行われる「神淵島」に行くこと。
神淵島は独自の生態系と文化を持つ島で、子供達は生け贄として育てられ、たとえ島を出たとしても16歳以上は生きられない。
神淵島の施設で育てられた晶は自分が由や碧を含め「かぐやひめの生け贄」だと知る。
そして、神淵島へのUGキャンプに向かう途中、なんとヘリコプターが墜落するという悲劇。
しょっぱなからかなりサバイバルな展開だ!
生き延びたのは、島出身の人間と米軍の女兵士マギー、さらに、晶の同い年の姉妹まゆも島に辿り着いていた。
(まゆの母が晶の養母である場合って姉妹でよいのかしら?)
かぐや姫伝説になぞらえてストーリーが展開するかと思いきや、実は施設で育った子どもたちは、世界各国の要人の子息たちのクローンで、臓器移植が必要な際にドナーとしてパーツを提供するために造られていた!
この辺りの非常にスリリングな展開に、ほぴっとん3姉妹も鷲掴みにされてしまいまして、今でも定期的に貸してくれと言われますね。
なぜ輝夜姫を読み返したくなるのか?
ここで、ほぴっとんが「輝夜姫」を超個人的な解釈でご説明します。一部ネタバレを含みますのでご注意ください。
主人公である岡田晶はショートカットがよく似合う中性的な美少女です。
晶は赤ん坊の時に竹やぶで柏木に拾われ、柏木家→夫妻の離婚→神淵島の施設→岡田家の養女となります。義母である岡田障子にヌードモデル兼同性愛関係を強要され、障子の娘・まゆからも異常な共依存型の愛情を向けられます。
このように当初「輝夜姫」は百合萌えな作品なのですが、ドナーたちが乗っ取ると(ここフワッとしておきます)一転、晶は男性陣から猛烈に愛されます。逆ハーレム状態ですね。
さらにその後、サットン×ミラー、由×碧、守×楓となぜかBL臭が強くなります。
しかし、ここが「輝夜姫」のミソなんです。
「輝夜姫」は設定が常に流動的でフワフワ彷徨っています。
これが、思春期の女子やホルモンバランスの乱れまくったオトナ女子のハートに恐ろしいほどヒットするのです。
「輝夜姫」の中で、一番の衝撃的なシーンが晶と間違われてまゆが暴行される場面がありますが、その時晶は由とイチャこいてた訳で、普通なら「お前、何やっとんじゃ!」ってなりますよ。
まさしく、「バガボンド」の又八ぐらいにしか言いませんよ。こんなこと……。
しかし、オトナ女子には「そういうことってあるよね」と妙にリアルに受け入れられるのです。
ほぴっとんが思春期にリアルタイムで読んでいた頃には「あいや〜!」と頭を抱えましたけれど、小憎らしいほどその後の展開に引っ張り込まれました。
「輝夜姫」ほど読んで自分の成長?と月日の流れを感じる漫画はありません。
読み返すたびにその時の自分の気分によって応援するキャラが変わるという不思議さゆえに何度も何度も読み返したくなるのだ!
輝夜姫の結末に納得できる?
「いいの?本当にそれでいいの?」連載終了時、密かに物議を醸したクライマックス……。
賛否ある結末についても、ほぴっとんは素晴らしかったと思います。
SF的要素をしっかり集約させつつ、恋愛面でも納得の終焉でした。
ほぴっとんも若かりし頃は、ミラーに関して「いいのか?」と感じていましたが、今は思いますね、「そういうことってあるよね」って……。
紆余曲折を経て、最後に「輝夜姫」というタイトルに戻ってきました。
由が天人ということは……⁉︎
モチーフとなった「竹取物語」のクライマックスと照らし合わせると感極まる!
まとめ
輝夜姫は中盤から画力が大幅にUPしますから、美麗な絵に見惚れること間違いなし。
清水玲子先生の描くバレリーナのように首スジの長い男子がたまらなく好きなんですよね。ほぴっとん。
輝夜姫はスケールの大きなSF大作としても、複雑な愛憎劇としても、展開の読めないサスペンスとしても楽しめる漫画です。
未読の方はぜひ読んで見てください!