「獣の奏者」は上橋菜穂子先生・原作のファンタジー小説を武本糸会先生が作画され漫画化した作品。小説版 全4巻+外伝「刹那」。漫画版 全11巻。完結済み。
友からファンタジーが好きなら「獣の奏者(小説版)」を読んでおけ!と言われてはいたのですが、ほぴっとんはあの重たそうな本のページをめくる気がしなくて後回しにしていたのですよ。(まあ、文庫版も出版されているのですが……。)
偶然、漫画になっているのを見つけてこれ幸いと読んでみたら、「なんでもっと早く読まんかったんじゃ〜!」ってなりましたよ。自分に鉄槌を喰らわせてやりたい気分……。
獣の奏者のあらすじ
エリンは獣ノ医術師である母・ソヨンと「リョザ神王国」の国防を担う大公領にある闘蛇衆たちの村で暮らしている少女。
……。全く頭に入ってこないあらすじ……。(泣)
頑張れ!ほぴっとん! よし。要約しよう……。
主人公のエリンが人間と獣との関わりを追求する物語を軸に、やがて神々が遣わした聖なる獣・王獣と心を通わせたエリンが政治的な陰謀に否応無しに巻き込まれていく壮大なストーリー。
説明しにくい設定
全く頭に入ってこないあらすじ……。(泣)
それもそのはずで、「獣の奏者」は人類学者でもある上橋菜穂子先生が築き上げた独自の世界観を持ったファンタジーなのです。
ヨーロッパ風であったり中華風テイストであったなら馴染みがあるので、受ける皿もあるのですが、「獣の奏者」はどこぞやの国家をモチーフとしていないため、その世界の単位に至るまで初めて聞く言葉のオンパレード。
だから、獣ノ医術師?闘蛇衆って何よ??となります。
ファンタジーに苦手意識を持っている人はここで脱落ですね。
でも、こんなに面白い物語を読んでいないなんて損している……。
不肖ほぴっとんが一言で簡潔に「獣の奏者」についてご説明しましょう。
「でかいツノが生えたコモドドラゴン・闘蛇と狼と猛禽類が合体した獣・王獣が代理戦争する話!!」
怒られるかな?
ほぴっとんなら帯にこう書いてあったら絶対持って帰るよ!
ファンタジーが好きな方は「獣の奏者」は読んでいるでしょうし、小さいお子様やファンタジーに興味を持ってくださった方のために以下より少し真面目にお伝えします。
なぜ「獣の奏者」を読むべきか?
「獣の奏者」は子どもの時期に読んでおくべき作品。
通常であれば、ここで「獣の奏者」の魅力をたっぷり語るところですが、遅ればせながら読んだ手前デカイ顔もできませんし、あえて語らずとも傑作間違いなしの物語でしょう……。
今回は、なぜ無類の漫画馬鹿が「獣の奏者」を読んでおくべきだと思うかについて語ります。
「獣の奏者」の魅力はひとえに完璧に構築された世界観を持つファンタジーであること!
この世界観というのがファンタジーにとって一番のキモであるワケですが、これが既存の世界をベースにしたものと、一から構築された世界とでは全くの別物です。
史実に忠実に描かれた作品はもちろん楽しめますが、異世界ベースのファンタジーを読む時とは使っている脳みその種類が違います。
例えばヨーロッパ風の作品ですと、自分の既存のイメージの上書きになってしまうのですよ。
なんとなくですが、記憶の引き出しを整理するような感じです。
悪いことではありませんが、幅が狭まってしまうことは否めません……。
しかし、「獣の奏者」のような作品ですと、その世界の地理的・文化的・政治的背景をベースから自分で噛みしめないと先に楽しんで進めませんからより深く空想しながら読まなければいけない。
字面を追うだけではついていけなくなるのです。
考えながらページをめくるし、想像力が無限に広がりますから、読む力も勝手につきます。
子どもの時に「獣の奏者」を読ませておくと読書家に育ちますよ。お母さん!
多分ですけど……。地図を広げて読む必要があるような作品を子どもの時代に経験した子はきっとずっと本読むでしょ?
だから「獣の奏者」は子どもの時期に絶対読んでおいた方が良い作品。
精霊の守り人
「獣の奏者」が面白いと感じた方は、もうすでに読んでいるだろう作品。
上橋菜穂子先生・原作の「守り人」シリーズ!
普通は逆ですけどね。「守り人」を好きな人が「獣の奏者」を読むので……。順番的には……。
小説版 全10巻。漫画版 全3巻。
あらすじ
短槍使いのバルサは橋から激流の川に落ちた新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグムを救う。その夜、歓待されたバルサはチャグムの母・二ノ妃からこの世のモノではない何かを宿したチャグムを救って欲しいと頼まれるが……。女用心棒・バルサの命をかけた逃亡が始まる!
水の精霊・ニュンガ・ロ・イム〈水の守り手〉の卵を宿しているチャグムは、目に見える人間の世界(サグ)と目に見えない精霊の世界(ナユグ)の間を漂っている。
新ヨゴ皇国の建国神話における忌むべき水妖に取り憑かれたチャグムの抹殺を図る父帝と、ナユグの怪物ラルンガからも卵を目当てに命を狙われるチャグム。
バルサはチャグムを守れるのか?
とにかく女用心棒のバルサがかっこいい!
藤原カムイ先生の絵と本当にマッチしていて思う存分「守り人」の世界を楽しめる漫画。
独特な世界観に圧倒される作品だが、漫画版はたった3巻しかなくて悲しい……。
「続きをよこせぃ!続きを……!」
まとめ
「獣の奏者」を漫画版で読むべき理由もありますよ。
文字だけでは味わえない王獣の子どものかわいさとかね。
漫画版には漫画版の「世界」の表現方法で魅せてくれますし、ちょっとした風景の「動き」って文字だと置き去りにしてしまうことが多々あるので、絵だとじっくり堪能できます。
ラストは漫画版の方が救いがあって、小説版と合わせて2度感動を味わえる作品です。
ただ、読み始めると途中でやめられないのが難点ですけどね……。
「獣の奏者」のためにゆっくり時間をとって読み始めましょう!
漫画版を読むと絶対に小説も読みたくなる!