「高台家の人々」(こうだいけのひとびと)は「ごくせん」で知られる森本梢子先生によるラブコメディ漫画。全6巻。
「高台家の人々」はさえない女が王子様に見初められるという少女漫画の王道的ストーリーだが、光正がテレパスだったことで一筋縄ではいかない抱腹絶倒の漫画になってしまった……。
とにかく笑える少女漫画が読みたい時は「高台家の人々」で決まり!
あらすじ
妄想が趣味の地味女子OL・平野木絵はニューヨーク支社からやって来た超イケメンエリート社員・高台光正に突然食事に誘われ仲を深める。光正の笑うタイミングがどうも木絵の頭の中をのぞいているような気がするのだが、実は光正は人の心が読めるテレパスだった……。
高台家の人々の魅力
ストーリー展開
木絵が風邪をこじらせて会社を四日間休んでいる間に、社内の空気が一変。
女子たちが色めき立っている理由は、ニューヨーク支社からイギリス人の祖母をもつ高台光正が来たから……。
しかし、平凡の「平」に野グソの「野」で平野でゲスな庶民の木絵には関係のない話。
そんな木絵がいきなり光正に食事に誘われたことで社内は大騒ぎ!
なぜあんなパッとしない女が光正様と?
(そりゃそうだろう。それが少女漫画さ!)
そう、光正は木絵の頭の中のおかしな妄想を読めるテレパスなのだ!
木絵のいきなり湧き出るユニークな妄想に惹かれ距離を縮める2人……。
順調に恋と妄想を育む木絵は光正から妹弟を紹介されるが、彼らも密かにテレパスの能力を持っていて……。
テレパス一家・高台家の面々と木絵の間の抜けたやりとりが醍醐味の漫画だ!
炸裂する妄想特急!
光正様(王子)は元華族の名門に生まれT大卒でオックスフォードに留学。黒髪に碧眼、容姿端麗でスポーツ万能なエリート。
しかし、少女漫画の世界では、こんな輩はゴロゴロ存在する……。
問題はヒロインの木絵だ!
こんなに馬鹿馬鹿しすぎる妄想を炸裂させるヒロインはそういない。
平泳ぎを追求しすぎて半魚になったり、「ビーフシチューこぼしちゅー」と言いたいがために土佐の森にキテレツな魔物を召喚したり、「ありがたう お姉さま」に至っては笑いの衝撃によってぎっくり首を再発しかけてしまった……。
テレパスであるが故の葛藤を抱える光正にとって、木絵の苦難を妄想で乗り越える前向きさはありがたい。
そして、同じくテレパスである光正の妹・茂子や弟・和正にとって、テレパスの生き方の指針である長男・光正の動向は非常に大事!
長男長女が「高台家の人々」を読むと、中間子であるほぴっとん以上に感情移入できるかもしれん……。
レディ・アンはやりとげた!
光正の両親にはテレパスの能力はない。
高台兄弟の印象的な青い瞳とテレパスは強引に日本に嫁いで来たおばあ様・レディ・アンの遺伝によるもの。
「高台家の人々」の2巻で描かれるアンと茂正(光正の祖父)の馴れ初めの話が本当に素敵。
飛行機で先回りして日本まで追いかけて来たアンに対して、口では「親不幸だ」と言いながら、喜びでいっぱいの茂正。
茂正の父などは「馬鹿者!!」と言いながらも、イギリスからこんな美人がはるばる追ってくるなんてさすがわしの息子と浮かれる始末で、案外あっけなく許してくれそうだとアンにはモロバレなところがかわいかった。
他人の本音なんて知らない方が幸せで、他人と深く関われない光正にとってアンは理解者であるとともに先駆者。
アンのガッツある行動に我々も勇気がもらえるハズだ……。
まとめ
「高台家の人々」は誰が読んでも面白い漫画だと思うが、木絵の妄想が笑えなかったら面白さは半減だ……。
性格の悪いブスが意外と多く、性格の良い美人がフツーに存在するリアルをかみしめているほぴっとんとしては、取り柄のない地味女子と王子様が何故かくっつくような話だけだともう読めない……。
光正が木絵を選んだ理由が十二分に理解できる「高台家の人々」は、婚期を逃し少女漫画特有のご都合主義が精神的に厳しくなったオトナ女子が読んでも楽しめる漫画!
注意!変な体勢で読まないこと!ギックリ経験者は要注意だ!