「SLAM DUNK(スラムダンク)」は、井上雄彦先生による高校バスケットボール漫画。全31巻、完全版・全24巻。
「スラムダンク」がスポーツ漫画の最高傑作であることに異論を唱える人はいないだろう……。
しかし、それゆえに後続漫画は「スラムダンク」と比較される憂き目にあっているのだ。
ですので今回は、ほぴっとんなりにスポーツ漫画の王道を築いた「スラムダンク」の必勝セオリーを考察してみました!
Contents
SLAM DUNK あらすじ
赤髪のヤンキー・桜木花道は、一目惚れしてしまった晴子に誘われるまま不純な動機でバスケ部に入部するも、練習や試合を通じて徐々にバスケットの面白さに目覚めていき、ド素人ながら持ち前の身体能力で才能を開花させていく……。
スポーツ漫画のセオリーとは?
スポーツ漫画における王道のセオリーとは、
① 弱小校が全国制覇を目指す
② 主人公がど素人
③ 内なるテーマ(才能)
④ ライバルの存在
⑤ 精神的な支柱
これに尽きると推測。
① 弱小校が全国制覇
「スラムダンク」の主人公・桜木花道のいる湘北高校は県内有数のセンター、主将・赤木剛憲(ゴリ)を有するも選手層が薄く前年のインターハイの予選は一回戦負け……。
しかし、中学時代に点取り屋だった流川楓が「家から近いから」という安易な理由で湘北を選んだことで、今年は何かが違うと期待ができる!
さらに、小柄だがスピードとテクニックがある宮城リョータと、一悶着起こしつつも中学時代に神奈川県大会を制したMVP選手・三井寿が復帰。
「全国制覇も夢じゃない」
そう思わせてくれるメンツがそろった湘北高校。
ゴリ率いる問題児軍団が勝ち進んでいくワクワク感に勝るものはない!
これこそが、まさに王道のセオリーだ。
ちなみに、ほぴっとんは山王戦と並んで、三井がバスケ部に乗り込んでくる「バスケ部最後の日」(7巻)が好き……。
② 主人公がど素人
体格が良く驚異の身体能力を持った桜木花道が、初心者からリバウンド王としての才能を開花させていく点が「スラムダンク」で一番面白い!
たいていの場合、スポーツ漫画の主人公はエースか初心者。
そうでないとストーリーが成立しませんからね……。
初心者を入れることで、我々もルールを学びながら一緒に成長できる点が、感情移入に繋がっている。
マイナーな競技だと主人公を初心者にしないとルール説明ができないというネックがスポーツ漫画にはあるのだ……。
③ 内なるテーマ(才能)
また、「スラムダンク」ではスター選手の中に初心者の桜木が混じることで、妙な化学反応が起きていた。
ど素人が試合に混ざることの違和感……。
いくら桜木の運動神経が良くても、いきなり全国区の選手を相手にうまく立ち振る舞うには無理がある。
しかし、ジャンプ力(リバウンド)という類稀な才能があったことで、なんだが納得。
また、地味な基礎練習に飽きてブーたれていた桜木がシュートの練習が楽しくて寝坊するまで頑張るとか、少年漫画の主人公なのに審判から隠れてインチキ(ユニフォームの裾を引っ張ってリバウンド阻止)するなど、意外性があるところもよかった。
桜木がド素人であることに開き直って、今できることを模索している点が「スラムダンク」の裏テーマなのだと思う……。
④ ライバルの存在
桜木花道の「終生のライバル」流川楓。
同じチームにライバルがいることで切磋琢磨できるし、ライバルが強いほど成長できるという利点がある。
流川は晴子の思い人なので、桜木の私怨が絡んでいて笑える……。
また、「スラムダンク」は、マッチアップする相手チームのキャラの個性が強すぎるのだ!
ゴリvs魚住とか、宮城vs藤真とか、震える戦いのオンパレードで、敵とはいえ好感を持てるのが「スラムダンク」のキャラ作りのうまさ。
そして、神奈川には「常勝王者」と呼ばれる強豪校・海南大附属高校という高い山がそびえている点が燃える展開!
⑤ 精神的な支柱
「スラムダンク」は名言が多く、安西監督の「あきらめたらそこで試合終了ですよ…?」とのセリフは誰もが耳にしているだろう。
普段は置物のような安西監督だが、終盤では勝負師の顔を覗かせたりして、湘北の勝利に貢献。
山王戦にビビるチームをこっそり鼓舞する中、キャプテンのゴリは自力で最高の精神状態に到達!
ゴリが迷いなく全国制覇を掲げることで、チームの精神的な支柱となりみんなが安心してついていけるのだ。
おまけ・画力の覚醒
「スラムダンク」のラストは別の意味で衝撃的だった……。
「エッ!ここで終わり…?」っていう……。
しかし、無音で表現されたクライマックスシーンは何度読み返しても鳥肌モノ!
連載中に井上雄彦先生の画力が大幅にUPしたことで可能になった表現だろう……。
改めて、「スラムダンク」はスポーツ漫画の王道を築くだけの魅力を持った漫画であると再確認できた!
まとめ
我が家の漫画ソムリエと化しているほぴっとんは、家族から「漫画を貸して…。スラムダンクみたいなの」と毎度のこと頼まれる。
しかし、ハードルが高すぎる。「スラムダンク」は唯一無二の漫画だ。
「ねえよ(怒)!馬鹿なの?」
つい、姉に向かって暴言を吐いてしまったが、「スラムダンク」級に面白いスポーツ漫画を探し続けて幾星霜、未だ「スラムダンク」の牙城は崩せない……。
リアルタイムでお世話になった漫画だけに、思い入れも強いしね……。
「アイシールド21」のような、王道を貫きつつも斬新なスポーツ漫画の降臨を期待!!