「栞と紙魚子と夜の魚」は諸星大二郎先生による「栞と紙魚子シリーズ」の第4弾!今作は 紙魚子の実家である古本屋・宇論堂が舞台となった話が多い。魚と本にまつわる怪奇が詰まった摩訶不思議な話だ!
Contents
夜の魚を棺桶に入れる理由
もし、ほぴっとんが不慮の死を遂げた際には、「栞と紙魚子と夜の魚」を棺桶にいれてくれと姉妹に頼んである。
その理由は「古本地獄屋敷」が収録されているからだ!
古本地獄屋敷 あらすじ
宇論堂の店主が行方不明となり紙魚子を心配する栞。どうやら店主は室井恭蘭全集の欠本を探しに地獄の古本屋敷に向かったらしいが……。
この古本屋敷が大量の本によって迷宮になっていて、大半は価値のない本なのだが中に稀少な本が紛れているのだ。それを目当てに古書マニアが捕らわれてしまい抜け出せなくなっている。(迷ったのではなく精神的に)
宇論堂奇書珍書目録
ほぴっとんのような奇書好きにとっては「古本地獄屋敷」は天国だ!
巻末に収録されている「宇論堂奇書珍書目録」を目にするだけで幸福感に浸れる。
・直立魚類
紙魚子も欲しがった直立して進化した魚類の生態を解説した書。
・山田沙丹の悪魔学シリーズ
「魔王瑠死滅(るしへる)の生涯」をはじめサタンの啓示に基づいて書いた本。全13巻。
・世界靴下大図鑑
靴下メーカーアッシシ社が創業百年を記念して世界中の靴下を収集した写真集。
その他、きとらさん著の「殺戮詩集」や「陳氏菜経」「地獄の三時のお茶」「正しい生首の飼い方(趣味と実用シリーズ)」「月刊ゲロゲロノベルズ」などタイトルだけで内容を空想できるラインナップが素晴らしい。
どんな本なのだろう?とほとばしる妄想が抑えられない!
それゆえ、棺桶に入れておけば転生するまで退屈することはないだろう……。
漫画馬鹿からのお願い
大量の漫画に埋もれて生活をしているので家族は漫画と一緒に焼いてやろうと思ってくれるだろうが、殿堂書架に置いてあるからといって何の漫画でもいいワケじゃないんだ。
間違っても「舞姫テレプシコーラ」などを入れてくれるな。続き読みたさに成仏できん……。
万が一に備えて「栞と紙魚子と夜の魚」の背表紙に棺桶用と付箋を貼ってある。
諸星大二郎先生の漫画を燃やしたらほぴっとんが激ギレするのではないかという心配は無用だ。大丈夫、2冊あるから。新装版も持っているんだ!
また、表題作の「夜の魚」も面白い!
夜の魚
夜の魚 あらすじ
胃の頭町で空家が増えていることに気づいた栞と紙魚子。最近町内では怪事件が頻発し、行方不明者が増加していた。しかも、家族ぐるみで一夜のうちに家ごとごっそり消える「胃の頭町平成の神隠し」と呼ばれる不可解な事件。
それとともに噂される夜に町を徘徊する魚。ある夜、栞は噂の「夜の魚」を目撃するが……。
夜の魚 感想
しばらくすると神隠しにあった場所に新しい家が建ち、行方不明者が戻ってくるのですが、みんなへろへろしているのです。
なんと、きとらさんまで「もう血なまぐさい殺伐とした詩は書きませんの。へろへろ」などと言い出す始末……。
ヘラヘラではなく「へろへろ」。
まさかほぴっとんも思いがけないことですが、ヘラヘラの最上級語として「へろへろ」が存在するとは……。
「夜の魚」は人や家を呑んで魚にするらしい。
そんな中、段先生の奥さんと娘のクトルーちゃんが「夜の魚」に飲まれてしまう。
半魚化した奥様ととんでもない異形と化したクトルーちゃんから目が離せない。
空を漂う「夜の魚」がなんとも幻想的で美しく、オチも素晴らしい着地!
その他 収録作品
・雑貨の戦争
ある日、栞と紙魚子が手にした雑貨と骨董品がチャンバラを始める話。
・迷惑な侵入者
全ての顔が個性的な丸顔に差し替えられていく話。
・本の魚
宇論堂に届けられた巨大な本に飲み込まれた紙魚子。海にたどり着いた紙魚子だが、そこは海で本が釣れる奇妙な世界だった。
・見知らぬ街で
どうやって来たかわからない見たことのない街で栞が遭遇した不思議の正体は?
・顔・他
顔・忘れっぽい幽霊・立ち読み幽霊などショートストーリー5編。
・本の魚2
やっとの事で「直立魚類」を手にした紙魚子。しかし、本から飛び出て来た魚に「直立魚類」を奪われてしまうが……。
まとめ
直立魚類が頭から離れないあなた。ご安心ください。「私家版魚類図譜」に進化を遂げる直立魚類が描かれている話があります。
詳しくは↓以下からどうぞ!
私家版魚類図譜|これぞ直立魚類の神髄!諸星大二郎が描く人魚・鮫人
Nemuki+コミックスから出版された「新装版 栞と紙魚子」の3巻にも収録されています。新装版には書き下ろしの新作「イカの怪」が加わっています。
「栞と紙魚子と夜の魚」は奇妙な稀覯本が織りなす世界にどっぷり浸れる笑える漫画だ!