「ブランカ」は「孤独のグルメ」の作画で知られる谷口ジロー先生の漫画。
犬の戦いといえば「ブランカ」でしょう。漫画というよりも文芸作品のような趣のある作品です。
ブランカ あらすじ
厳冬のアラスカ・ブルックス山脈。密猟者のディックとシバは、狼の群れにまじって鹿に喰らいつく白い犬に気づく。見事な鹿の角欲しさに群れに向かって発砲すると、ディックはその白い犬によって瞬殺されてしまう。白い犬は怯えるシバを一瞥して山に去っていく。
その頃、R共和国の諜報員は「ブランカ」と呼ばれる白い犬に関する情報をアラスカで集めていた。
この白い犬には、ある重要な軍事秘密が隠されているらしいのだが……。
ブランカ 感想
1989年、凍結したベーリング海峡をアラスカ西岸へ向かって走り続ける1匹の犬。
遺伝子操作によって生み出された白い犬・ブランカは、R共和国の研究所を抜け出し、ニューヨークに住む飼い主を求めて走り続ける。ひたすら永久凍土の大地を駆けるも、機密保持のためにR共和国から追っ手がかかります。
しかし、ブランカめっちゃ強いんですね。めっちゃ走るし、めっちゃ飛ぶ。
鋭い牙で人間の首を一瞬でチョンパ、ホッキョクグマでさえぶち殺す勢い。
そんなブランカが大地を血に染めながらも、戦い、走る。筋肉の躍動感がハンパじゃないですね。
犬とも戦うし、残酷なのですが美しく感じました。
ほぴっとん的には「神の犬」の方が面白かった‼︎
神の犬 あらすじ
戦闘犬を使ってロシア大統領の暗殺計画を実行に移したR共和国。計画は失敗に終わり、カナダでついに死んでしまったブランカ。
しかし、なんと狼との間に子供が生まれていたのだ‼︎
それを知ったシュミット大佐は懲りずに捕獲に乗り出す……。
神の犬 感想
ブランカの子どもである「タイガ」と「ナギ」を中心に物語は展開します。
黒毛のタイガはR共和国軍事特別対策本部に捕獲されてしまい戦闘犬として育てられます。
一方、銀毛のナギは熊との戦いで怪我を負い、鉄人マッシャーと呼ばれたワーヤキンに助けられ、彼と暮らすことになります。
その後、訓練を受けていたタイガは追っ手を殺害し怒りに震えて東へ、ナギもまたR共和国の追っ手を殺害し呼応するように西へと駆けていく。
お互いを求め合うように走るのですが、距離もあるからスケールがでかい。
凍て付くような寒さが伝わってきて、読んでいるほぴっとんの手も凍えそう……。
人と犬との関わりの大切さや愚な人間をを戒める哲学的な要素を含んだ作品です。
犬のペットとしての可愛さに癒される漫画ももちろん大好きですけど、真の犬好きにはぜひ読んでもらいたい漫画。
まとめ
極北地域の厳しい自然環境の中を駆け抜ける犬。人間も犬も死にまくりのストーリーだけに重たい。「銀牙シリーズ」のように犬が喋らないので、犬たちの表情だけで怒りや哀愁を感じるところによりドラマ性があります。
人間の欲のために生み出された悲しき犬・ブランカは戦いの果てに何を見るのか?
犬好きに読んでほしい漫画だが、犬が好きすぎる方や血が出ているシーンに耐えられそうにない方は読んではダメだ。
かなり古い漫画ですので読みにくいと感じる方もいるかも……。
しかし、背景の描き込みや犬の動きなどはデジタルでは表現できない重厚感があります。
人と犬とのつながりを冷戦というキーワードを交えて描いた泣ける漫画‼︎
2017年2月11日に谷口ジロー先生が死去されました。突然の訃報に驚きました。本当に残念過ぎる……。
御冥福をお祈りいたします。