「第3のギデオン」は「医龍」「幽麗塔」の乃木坂太郎先生による歴史ドラマ漫画。
「新説フランス革命」がテーマだなんて、世界史歴女・ほぴっとんは絶対買いの漫画でしょ♪
それにしても、乃木坂太郎先生の絵がここまでおフランスにマッチするとは思わなかった……。
フランス革命の光と闇を思う存分堪能できましたぞ♪
第3のギデオン あらすじ
フランス革命前夜。
貧困にあえぐ民のために反政府運動をおこなっている平民のギデオンと、手段を選ばずに階級制度を破壊しようとしている貴族のジョルジュ。
同じ志を持ちながら交錯する2人の運命とは……。
第3のギデオンの魅力
ストーリー展開
「トワネットとニャック夫人」というエロ小説で生計を立てるかたわら、反体制活動家(パトリオット)として演説や哲学書の出版をしている第三身分(平民)の青年・ギデオン・エーメ。
ある日、彼は反良俗文書作成の罪で投獄されてしまう……。
王家を皮肉ったエロ小説は口実で、アルノー侯爵の真の目的はギデオンの演説能力を国王派に生かせとのこと。
ギデオンの主張は国王陛下の力をお借りして平民が貴族や教会の特権を廃止しようというというもの。
(↑ ルイ16世を父として敬い貴族の腐敗をどうにかしてほしいというところがポイント)
冷害で作物が枯れ貧困の連鎖が断ち切れないフランスは略奪や子殺しが横行して末期的な情勢。
ギデオンは家族が笑って暮らせる王国に変えるため、第3身分でも参加できる全国三部会の代議員に立候補する意欲を語る。
そこで、自分の意に沿わないギデオンを信用ならないと感じたアルノー侯爵は、ギデオンの娘・ソランジュを吊るす(絞首刑)という暴挙!
ギリギリのところでロワール公爵ジョルジュ6世が馬上からソランジュの縄を切って救出。(かっこいいわ〜♪)
ここで驚き!なんとギデオンとジョルジュは顔見知りだったのだ。
かつて、ギデオンは口減らしに捨てられたところをジョルジュの父に金で引き取られ、ロワール家の息子・ジョルジュと兄弟のように育った。
ギデオンが捨て子であると知ったジョルジュは「何者もギデオンを祝福しないのなら僕と父で祝福してあげたい」と国王から賜ったロワール家の宝である金時計をギデオンに託す。
ジョルジュの涙に救われたギデオンだが、剣の稽古中に誤ってジョルジュの左目を傷つけてしまった。たとえギデオンであっても父は平民に容赦しない。償いのために左目を差し出すお前を見たくないとジョルジュはギデオンを逃すのだ。
そしてその18年後、時計の男の噂を聞きギデオンを探していたジョルジュ。
平民の安寧のために共に立ち上がろう。
フランス王国万歳!と別れたものの、ジョルジュは暗い影を落としていて……。
新説フランス革命
血による革命ではなく「戦うときは言葉で」という信念を貫くギデオン。
一方、最高位の爵位をもつ貴族・ジョルジュ・ド・ロワールは階級制度を憎み手段を選ばず平民に暴動をそそのかす。
最短で革命を成すには流血上等のジョルジュと袂を別つことになるギデオンだが、ここに深い溝があるのです。
ジョルジュが焦っているワケとは……?
少々、ネタバレになるのですが、実は捨て子の平民だったのはジョルジュの方なのだ。
息子には平民の暮らしを体験させたいという、父ちゃんの粋なというよりも酷い計らいで、ジョルジュとギデオンを入れ替えて育てちゃったのですよ。
(この事実、ジョルジュは知っているけどギデオンは知らん)
愛憎的コンプレックスに苛まれるジョルジュ様。真に平等な世界を夢見ているのはジョルジュの方なのが泣ける〜。
麗しい容姿のジョルジュが女や老婆に変装して歴史の闇で暗躍。
そこに、ルイ16世やマリー・アントワネット、ロベスピエールなど、おなじみの面々の生きたドラマが交錯。
フランス革命の結末がわかっているだけに、ギデオンとジョルジュがどのような運命をたどるかが見所!
民衆目線で描かれることが多いフランス革命ですが、「第3のギデオン」は国家(貴族)vs平民の構図のバランスがよく、歴史に疎い方でも入りやすい(と思う)。
フランス王家に対するイメージがちょっと変わる。新しい感覚が味わえる漫画だ!
まとめ
「とりあえず、お風呂に入ろうぜ!」という感想は置いておいて、ルイ16世が嘘を見抜けるという特殊能力を持っていたり、意外とマリー・アントワネットが国に尽くしていたりするので、どういった経緯で首チョンパされるのかが気になる……。
また、ほぴっとんは期待していたのですが、グロはなし。残念……。
拷問シーンはあるのにね。清い感じでサラッと流されてしまった。
「第3のギデオン」は、言葉と暴力のせめぎ合いを読む漫画です。
目の傷を隠すために仮面をつけているジョルジュ様の美しさと暴走っぷりを堪能しよう♪
同じく、フランス革命をテーマにした「イノサン」や「ジェラールとジャック」などと合わせて読むとより楽しめる漫画だ!