「ファイアパンチ」は藤本タツキ先生による非情な世界を描いた漫画。
ほぴっとんの脳髄に痛恨の一撃を与えてくれた漫画であります。
内容を知らずにジャケ買いしたもんだから「ジャンプだよな?」と何度も確認するほどの衝撃。藤本タツキ先生の初連載作品とあって、練りこまれた設定。絶対に評価されるべき漫画だ!
あらすじ
「氷の魔女」と呼ばれる祝福者によって世界は雪と飢餓と狂気に覆われ、凍えた民は炎を求めた──。身体が再生する祝福を持った少年・アグニと妹・ルナは、極寒の地で村人に自らの腕を食料として提供しながら生き延びていたが……。
身寄りのない兄妹を待ち受ける非情な運命とは…!?
ファイアパンチの魅力
異能力を持った「祝福者」という存在の悲惨な設定。残虐非道のダークな世界をドライに描く、タブー感満載の漫画だ!
ストーリー展開
いきなり斧で腕をチョンパするシーンからスタートする「ファイアパンチ」。
子どもだし、斧を振り下ろしているの妹だし……。しかも、食用って……。
人肉を食べることに抵抗のある村人(老人Only)が寒さに凍えながら死んでいくヘビーな展開。
そんなある日、村を訪れたベヘムドルク兵「炎」の祝福者ドマによって人喰いの禁忌を犯した村は焼き払われてしまう。
しかし、ドマの「消えない炎」に焼かれながらも強力な再生能力によって生き続けるアグニ。
憎しみの炎に覆われたアグニはドマへの復讐を誓うが……。
どうやら、ベヘムドルク兵は祝福者を集めている様子。
戦力が揃ったら「氷の魔女」を倒し、世界に緑を取り戻すためらしい……。
国王の治める自由の国・ベヘムドルクに若者を集めつつ、奴隷狩りをするというシビアな世界設定だ。
ゆるゆるな倫理観
「ファイアパンチ」はゆるゆるな倫理観が味な漫画だ!
人肉食はダメで村人は皆殺しにしてもOKとか、お国のために希少な祝福者を薪にして暖をとるとか、かなり歪んだ正義が蔓延。
「人と動物がやるのを見るのが好きなんだ!」
こんなにゲスなことをサラッと言う男もめずらしいけれど、犬はOKで男と男は絶対ダメって、こいつの倫理観どうなっているんだ?
ここまでぶっ飛んでいると、もう笑うしかない……。
この倫理観を許容できる人と嫌悪する人で評価の振り幅が大きいだろう。
世界観にマッチした絵
ほぴっとんは「ファイアパンチ」の絵が素晴らしいと思いました。
消えない祝福の炎に焼かれるアグニは常時燃えているのに熱を感じさせない……。
これは、藤本タツキ先生の涼やかな絵のタッチにあるとみました!
雪が音をかき消すように血液のほとばしりを感じさせないシャープ感が氷の世界にマッチしている。
切断された両足から流れる鮮血がその場で凍てついていくような描写。
これは、本当に卓越した技法だと思いますよ。
内臓をぶちまけて腐臭を漂わせるような絵ではダメ。
「ファイアパンチ」に俗な表現は必要ありません。
もしかしたら、読者の年齢層を考えての絵柄かもしれませんが……?
一見、エグさが薄まって見えますもんね。
「ジャンプコミックスでなければなぁ」と、つい思ってしまいます。
ジャンプだからといって油断をすると痛い目にあいますから、ご注意ください!
視覚的・精神的なグロ度は高めの漫画です。
なぜジャンプなんだ?
「ファイアパンチ」は「このマンガがすごい!2017」オトコ編で第3位を獲得している漫画です。
「絶対にもっと評価されるべき漫画だ」などと言っておきながら、この結果に唖然……。
大衆受けする漫画なの?「ファイアパンチ」って?
誰がこんな評価をしたのか謎だ……。
「ファイアパンチ」を「進撃の巨人」にしたいのか?と思って邪推してしまいましたよ。いかん……。いかん……。
「進撃の巨人」は巨人の無体な仕打ちが残酷なだけで、ストーリーは人道的。
「ファイアパンチ」とは生息区域を異にします。
ほぴっとんが欲しいのはこういう評価ではなかった……。
ジャンプだから拒絶反応がでたのかもしれん。ジャンプ絵で駕籠真太郎先生的世界観を表現して欲しいという希望があったのだろう。ほぴっとんの中で……。
ジャンプでさえなければ、もっと藤本タツキ先生の表現の幅が広がったのではないか?とつい思いを馳せてしまうほどのポテンシャル!
しかしまあ、ジャンプだからたくさんの人の手に取ってもらえて漫画にとっては幸せなことでしょう。
衝撃的な展開が目白押し!
謎の女・トガタがアグニを主人公にして映画の撮影を始めたことで狂気が加速する……。
よりカオスな展開から目が離せない。
まとめ
海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」が世界中で評価されていますし、良質なダークファンタジーを多くの人が望んでいます。
「ファイアパンチ」は王道ではないし、万人ウケはしない漫画です。
これほど他人の評価がアテにならん漫画もめずらしいよ。
読むだけ読んでみて合う合わないを自分で判断した方が早い……。
ほぴっとんは超面白いと思ったので、トーンダウンせずに突っ走って欲しいと願う漫画だ!