「不能犯」は、原作・宮月新先生、作画・神崎裕也先生によるサイコサスペンス漫画。
2018年2月1日に松坂桃李さん主演で映画が公開されました♪
目力のある松坂桃李さんが不能犯の殺し屋・宇相吹を演じるとあって、期待度高し!
また、宇相吹の心理操作が通じない人間。「不能犯」のキーパーソンである熱血漢・多田刑事(男)を沢尻エリカさんが演じます。
これを機に、原作漫画もチェックしておこう!
不能犯 あらすじ
大都会の片隅にある、とある公園の壊れた電話ボックスの裏に連絡先を貼っておくと、赤い瞳の男がやってくる。
その男・ 宇相吹正は「思い込み」を巧みに操り、依頼されたターゲットを殺害していくが……。
不能犯の魅力
ストーリー展開
杉並北警察署管内で発生した闇金業者・木島の変死事件。
木島の死因は急激な血圧低下によるショック死で、死体からも現場からも木島の死に結びつく薬物などは検出されていない。
しかし、防犯カメラの映像から木島は死の直前に黒いスーツの不気味な男と同席していたことがわかり、担当刑事の夜目は事情聴取に向かう。
木島は何らかの薬物によって殺害されたと確信している夜目は、公園のベンチで猫を布団にして爆睡する男・宇相吹正(うそぶきただし)に署への同行を求む。
そこで、異様な眼力を持つ宇相吹に手首を舐められる夜目。すると瞬く間に手首がパンパンに腫れてしまうのだ。
「毒を盛られた!?」と焦るも、検出されたのは唾液の成分のみ……。
この男、いったい何者……??
斬新な設定のクライムサスペンス漫画だ!
宇相吹正って何者よ…?
宇相吹さんの職業は殺し屋です。
電話ボックスに連絡先を残したら殺しの依頼を受けてくれるという都市伝説の男。
数々の変死事件の裏で暗躍し警察からも目をつけられていますが、逮捕されない。
何故かって??それは「こいつがやった!」と犯行を証明できなければ事件として立証はできないから……。これを法的に「不能犯」と呼ぶらしいです。
宇相吹正=不能犯ってことね!
第一話で唐突に、刑事・河津村から戦前に行われたとある実験について前振りがある。
「人間は身体の三分の一の血液が失われたら死ぬ」と説明したのち、おもちゃのナイフで腕を切る。
あたかも自分の血液が流れ出ているように錯覚させると、三分の一の血液が流れ出たと言われただけで健康体なのにショック死するという……。
自分が死ぬって思い込んだ男が死んじゃった話なのですが、まあ宇相吹の「思い込み」で人の命を奪うことができるという特異能力の補足説明です。
宇相吹から毒物を飲まされたと「思い込んで」ショック死しても、実際に宇相吹が毒を盛ったわけではないので、殺したのは宇相吹なのですが、法律上裁けません。
よって、宇相吹は次々と殺人を犯すが、お縄にならないのだ!
どうやら、宇相吹の凶行は「人間は脆いと証明する為」らしく、何かしらの哲学に基づいて趣味と仕事を両立している。
人間の愚かさを高みから眺めているような愉快犯っぽさもあるし、宇相吹は魅力的なダークヒーローだ!
不能犯のココがスゴイよ♪
「不能犯」は基本的には1話完結のストーリーで、殺しの依頼を受けた宇相吹が様々なシチュエーションでターゲットを死に導いていく話です。
ターゲットだけではなく依頼人も悲惨な末路をたどるので、法で裁けない人間に私刑を与える「善悪の屑」のような復讐モノとはまた違ったテイストが楽しめる。
グロ度は「善悪の屑」の方がヤバいのだが、「不能犯」は制裁的なスカッと感が全くない。なので、逆にクライマックスの救いのなさに清々しさを感じるほどだ……。
人間の歪んだ殺意だったり、心理戦の攻防がうまく表現されていて、1話1話がヘビー級の展開。
クライムサスペンスだと犯人を追う側にメインがいきがちですが、「不能犯」は絶対に捕まえられない男に翻弄される警察という逆転の構図が斬新。
また、赤い瞳を持つ宇相吹は一体何者で、本当の目的は何なのか?
宇相吹がミステリアスなサイコ野郎だけに、続きが気になって仕方がない!
まとめ
思い込みで人が死ぬ漫画といえば、山岸凉子先生の「ハトシェプスト」を思い浮かべましたよ。
全然テーマ違いますけど……。
「不能犯」はどちらかというと「怨み屋本舗」や「クロサギ」が好きな方にぴったりくる漫画だと思います。
「クロサギ」には毎回「よくこんな詐欺思いつくなぁ」と感心させられましたが、「不能犯」にも「よくこんなクズな奴を思いつくなぁ」と感服してます。
人間の心の闇を覗いてみたいなら……。予測不能なサスペンス漫画「不能犯」を読もう♪