「かつて神だった獣たちへ」は「黄昏乙女×アムネジア」のめいびい先生によるダークファンタジー漫画。
うっかりタイトル買いしたら、面白くて続きを一気に買ってしまった……。
戦時中は神(英雄)で平和になったら力を持て余す獣扱いとなった「擬神兵」の末路を読んでくれ!
あらすじ
国土を南北に分けた内戦が長く続いた時代に、劣勢に追いやられた北部が禁忌の技術をもって作り出した異形の兵士”擬神兵”。人の姿と引き換えに神と称えられた彼らによって戦乱は和平へと導かれたが、 内戦から時を経た今は、ただ”獣”と呼ばれている。
その擬神兵たちを殺すために旅を続ける“獣狩り”のハンク。そして、擬神兵だった父を彼に殺された少女・シャール。父が殺された意味を知るため、シャールはハンクと共に旅することを決意するが……。
かつ神の魅力
ストーリー展開
酒場にていきなり「父の仇…!!」と象撃ち銃を弾切れまでぶっ放す少女、ナンシー・シャール・バンクロフト。
そして、撃たれたのは白いコートのフードを被った男・ハンク。
なんと彼は無傷でシャールを抱えて酒場を遁走。
シャールは擬神兵であった父を“獣狩り”のハンクによって殺されたため、復讐のためにつけ狙っていたのだ。(まったく無茶をする子だよ……。)
ハンクの目的が、この町に住む心優しき擬神兵・ダニーの抹殺であると知ったシャールは、自分の父親と同じ立場であるダニーをかばうが、ダニーは悪事を知られると町にいられなくなるため口封じのためにシャールを殺そうとする。
からくもハンクに助けられるシャール。
どうやらハンクは擬神兵部隊の隊長で、ダニーは部下である様子。
「心を無くした者は仲間の手で葬る」というルールなのだ。
肥大化する肉体を持つ兵士・擬神兵スプリガンとなり襲いかかるも、ハンクの一撃で瀕死となるダニー。
「戦場で神として死ぬべきだったのか?」
ダニーの末期の声を「すまない」の一言で片付けるハンク。
ハンク自身も擬神兵の身で、約束を守るためにかつての仲間を殺して回っている。そんなハンクを理解できないシャールは、「父親が本当に獣狩りに殺されるべきだったのか?自分の目で確かめると良い」と告げられ、ハンクと旅路をともにすることを決意するが……。
予想外に展開の早い漫画だぞ!
ダークファンタジーか?
ほぴっとん的には「かつて神だった獣たちへ」はダークファンタジーではあ・り・ま・せ・ん。
ダークでもなんでもありませんよ。ライト!ライト!
軽めの漫画ですよ。設定は戦争が背景としてありますから重たいですが、グロなし、エグさなし、神速のエピソードの集合体だ……。
(ほぴっとんは婚期を逃したので、グロリズム宣言中です!感じ方には個人差があります)
お国や家族のために身を捧げ擬神兵なる異形となった人間が戦争の最中には八面六臂の大活躍!
しかし、争いが絶えると一転して人々から恐れられる存在に早変わり。故郷に帰るも元擬神兵の居場所などどこにも無いのだ。
そして、元擬神兵がこじらせる→ハンクが退治→戦争の被害者、という無限ループ。
ダーク=暗い。
「かつて神だった獣たちへ」からはダークファンタジー特有の重たさは感じませんね。
ほぴっとん、勝手にダークファンタジー漫画だと認識して読んでいたので、正直肩透かし……。
鮮血なき漫画などダークファンタジーにあらず……。
そこで、「かつて神だった獣たちへ」からダークの称号を外してみよう!
超面白いファンタジー漫画に早変わり!
かつ神のここが面白い!
ファンタジー漫画として「かつて神だった獣たちへ」は素晴らしい出来!
擬神兵の設定が良い。とても良い。
ビジュアルも最高だし、ベースとなる巨獣に独創的な特殊能力を与えている点がツウ好みな漫画だ。
人の姿を捨てて異形の身となるも、心は戦争の傷跡が胸に刺さった人間のまま……。
“獣狩り”としてハンクが彼らを抹殺するのは戦後処理の一環ですから、殺す以外に方法がない。
お互い重たいものを抱えている元擬神兵……。
そんな中で、シャールが何を見て何を感じるかが非常に意味深いポイントとなってくるでしょう。
また、マイナスにとらえる方もいるかもしれんが、トントン拍子に進むストーリーであるため途中で脱落しにくい……。
「父の仇と馴れ合うつもりはありません!」なんてタンカ切っておきながら、次のページで仲良くお茶していたり、わざわざ擬神兵スプリガンに変身したダニーを2ページで倒すというもったいなさがあったりと、もはや暴走特急……。
しかし、好きだ!こういう漫画!
心にヘルメットとシートベルトが必要な漫画よ。
「次はどんな擬神兵に会いに行くのやら……。」とずっと中だるみしないまま楽しめる。
ストーリーが間延びせず、作業の合間に合間に読ませてくれる漫画は貴重!
まとめ
1巻を読んだら、擬神兵の核心に触れる2巻も絶対に読みたくなるはず……。
獣たちをこの世界に解き放った謎の男・ケイン。
仲間殺しの十字架を背負うこととなったハンクとケインの因縁。
そして、シャールの父親に秘められた悲しい過去とは……?