「黒街 —クロマチ—」は「蜜の島」の小池ノクト先生によるシュールなブラックコメディ漫画。全3巻。
黒街こそKing Of ジャケット詐欺漫画だ!
ゾンビ系パニックホラーかと思いきや、とんだギャグ漫画でしたよ……。
しかし、大好きだ!こういう漫画!!
あらすじ
引きこもり少年・幸一とバイトを転々とする父・ひろみは小さなアパートでふたり暮らしをしている。
そんなある日、幸一は父の就職先に押し寄せるゾンビの群れに遭遇して……。
黒街の魅力
怪異あふれる「黒街」を舞台としたホラーな日々にゆる〜い笑いをもらう漫画だ!
ストーリー展開
リストラされた親父・黒町ひろみの再就職先(近所のスーパーの深夜パート)が決まった。
ブラックな会社なのか??何かと戦っている様子で疲れ果てているひろみ……。
そんな中、忘れ物を届けてほしいとの頼みでブラックスーパーに出向いた息子の幸一が目にしたのは、ボサノバが虚しく響く客のいない無人のスーパーで、親父がゾンビ相手に精魂込めて作った惣菜をタイムセールしている姿だった……。
襲われるパートのおばちゃん佐藤さん。
手に負えず逃げ出した幸一と父・ひろみ。
「オレも働くから あんなトコ辞めろよっ」
そして、ひろみは新たな職を求めるのだった……。
(ほぴっとん、大爆笑!!)
It’s シュール!謎の公共事業
謎の公共事業の話のシュールさときたら……。言葉にならないほど面白い!
父・ひろみの新しい職場は公共工事の警備員。
しかし、なぜか昼間せっせと掘った穴を必死で埋め直す。
騒音がうるさいと近所の人から苦情を申し立てられるも、夜毎繰り返される血税浪費。
なんと、その穴の奥には得体の知れない異形が……。
掘って埋めて!
掘って埋めて!
そりゃ終わらんわけだ!
現場監督による生コン打設攻撃で拿捕される異形……。
「監督ばんざーい!」って、なんともおかしな職場だ。
しかし、父・ひろみはこの仕事をやめる気はない様子。
なんとも変なテンションの漫画。がんばれひろみ!
(ほぴっとん、大爆笑!!)
あふれる怪異をどうしよう…
「黒街」は終始このような感じで、ニッチな笑いに満ちあふれている。
父・ひろみが業務中に足を骨折してクビになったため、おじいちゃんが営む旅館苦取荘(くとるそう。プッ!)にてバイトしたり、幸一の学校の教師が人類の飢餓を救う画期的な食材としてゾンビの肉をファンタジーミートとして開発したり、「黒街」を中心にジワジワ広がる摩訶不思議なホラーが描かれている。
また、幸一が小早川英子に誘われて、(写真部と勘違いして)邪神部に入る下りも笑える……。
小早川英子の言い分としては、
「願い事がある時神様が出てきてくれた事ってある?
いつも出てくるのは悪魔や邪神ばかり。
それなら最初から邪神を呼んで味方につけたほうが早道。」
とのこと……。
ごもっともな意見だ。
英子お手製のハリボテに邪神の魂を召喚。
邪神は呼び出しに応じるも、工作技術の限界がそのまま邪神の限界となり崩壊……。
すごいよ!ロマンがある♪
ホームセンターに邪神(の材料)が眠っているかも知れん……。
そして、黒街に「クロチカ」(地下街)を作るという野望のために、父・ひろみはゾンビと戦う仕事につくが……。
ひ弱な父・ひろみがソルジャーとなって剣を手にする……!!
(裸に安物のプロテクターをまとってね……。プッ!)
まとめ
小池ノクト先生の「背の眼」が予想外に恐ろしく悪夢にうなされたため、「黒街」も怖すぎて読めないかもと避けていたのですが、こんなにクトゥルフ臭のする漫画だと知っていたら、もっと早くに読んだのに……。
確実にジャケット詐欺漫画ですね。良い意味で……。
まあ、「黒街」は好みが分かれる漫画ではあるが、諸星大二郎先生・伊藤潤二先生を敬愛するほぴっとんにとっては、大当たりの漫画だ♪
「でろでろ」とか好きな方は絶対好き!
奇妙な怪異に晒される街のキテレツな日常がジワジワ効いてくる腹筋が小刻みに震える漫画!