町の振興イベントの催しで「AKIRA」と「風の谷のナウシカ」を同時上映するなんて、運営委員Good Job!
今回はみなさんご存知の「ナウシカ」であります。
それにしても、2017年になった今でさえほぴっとんの町には映画館がない。
あらすじ
「火の7日間」と呼ばれる戦争によって大産業文明が崩壊し、地上は有毒な瘴気を撒き散らす菌類の森「腐海」に覆われ、巨大な蟲たちが跋扈する世界となってしまった。
海からの風によって腐海の汚染からかろうじて逃れている辺境の小国「風の谷」。
族長の娘であるナウシカは蟲の声を聞き風の心を感じることのできる不思議な少女。
ある晩、蟲に襲われている商船が風の谷付近に墜落するが……。
ジブリ作品の何が好き?
ジブリの作品で「何が好き〜?」とよく話題にのぼりますよね。
(正確には次回作である「天空の城ラピュタ」からスタジオジブリで制作されています)
① 風の谷のナウシカ
② 天空の城ラピュタ
③ もののけ姫
ほぴっとんの順位は今後も変動することはないでしょう……。
それだけ「風の谷のナウシカ」は衝撃を与えられた作品です。
しかし、映画版の「ナウシカ」は原作漫画全7巻のうち、たった2巻までの内容しか描かれていません。
序章ですよ!序章‼︎
映画版の「ナウシカ」を観たことがない方って存在するの?と言われる一方、ジブリ愛好家でも漫画版の「ナウシカ」を読んだことのない方は大勢います。
「ナウシカ」は2巻からが映画版をひっくり返すほど面白いから読んでみてと、姉や妹・友人たちに貸したことがあるのですが、みんな微妙な顔をして返却します。
「こいつら、読んでないな?」
問い詰めたりはしていませんが、なんとなく理由は推測できます。
宮崎駿先生のこだわり
なんと漫画版の「ナウシカ」はトーンをほとんど使っていません。
線+線+線……。
陰影や効果線、蟲たちや菌類の飛ばす胞子などの細かい部分に至るまで、これでもかというほど線で描き込まれています。
執念を感じさせるほどの線描写スタイルと特徴的なコマの割り方は、小慣れた漫画読みでさえ「ふるい」にかけるほどの偏執さであります。
ジブリ作品といえば、色彩の美しさに定評がありますから、映画版から入ると漫画版の「ナウシカ」は対極に位置するような重めのトーンであるため読みにくいだろうと感じます。
ややノペ〜とした映画版の王蟲より、漫画版の王蟲の方が迫ってくる勢いにホラーを感じて素晴らしいと思いますが……。
読まないのはもったいない!
おすすめのポイント
風の谷の東に位置するトルメキア王国と神聖皇帝が支配する宗教色の強い土鬼(ドルク)が覇権を争って戦いを始めると、トルメキアとの古い盟約によってナウシカは腐海の毒に侵された族長のジルに代わって参戦することになります。
この両国の諍いが上から目線で見るとどっちもどっち……。
王位継承争いに忙しく、なけなしの文明を衝突させるという無謀ぶりで、よりナウシカ頑張れ!と応援したくなるのです。
また、二元論のような対比で描かれる世界がハマり込んでしまうポイントでもあります。
菩薩のようなナウシカと鬼神のようなクシャナ。
苦悩しながらも澄みきった瞳を失わないナウシカと終盤は神がかり的な美しさのクシャナ様……。
脇を固める個性的なキャラクターが引き立ててくれます。
文明崩壊後の世界観
キャラクターもパンチがきいていて巧みですが、文明崩壊後の世界観の設定も秀逸です。
文明が滅亡したためインフラの整備が整っていないにもかかわらず、戦闘用の兵器や軍艦などの科学技術は旧世界の遺物として残されているところが乙なのです。
広がり続ける森の上空をやたらとメカニックな戦闘機と古代の様相をしたトンボみたいな蟲が並走する光景。
これが一番好きなシーンだったりする……。
ナウシカが「森の人」と出会うことで、腐海の謎や自然との関わり、生きる意味を模索していくストーリに感動します。
まとめ
環境破壊に対する警鐘という意味を持つだけではなく、哲学的な観点から描かれている「ナウシカ」は壮大な構想の下で生命や死・再生にまつわる命題を我々に問いかけてきます。
もし世界から文明が消え去ったら、ほぴっとんはナウシカのように高潔に生きられるだろうか?
世界と共生のすることの難しさを強く感じさせてくれる作品です。