鳥たちのかわいい生態から壮大なSF大作までおすすめの鳥漫画

パッと鳥の漫画ね、と考えたら一番最初にチキンジョージが浮かんでしまったほぴっとんですが、今回は鳥が主人公の漫画の中から一押しの作品をご紹介いたします。

(*チキンジョージ=楳図かずお先生の「14歳」に出てくるニワトリの頭の科学者)

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文鳥様と私

究極の癒しとはこのこと……。文鳥たちと暮らす今市子先生の笑える日常を描いた作品。

(なぜか愛蔵版が全2巻あります。注意!)

「百鬼夜行抄」でおなじみの今市子先生がご自宅で飼われている文鳥たちの奥深い生態を赤裸々に綴った作品。

かわいすぎる文鳥様

今市子先生からも格別に愛されている白文鳥、「美しいオレ」が口癖の福ピーが、やはり抜きん出てカワイイ。

文鳥のクセにカッコイイ福ピー!しかし文鳥だからアホな福ピー!

そんな彼に遊び相手の嫁を買ってきたことから今市子先生の文鳥ブリーダーライフが始まります。

ナルシストな福ピーは嫁・ハナちんと相性が合わず虐待する始末。

しかし、険悪な関係なのに息子・ナイゾウ(生まれた時に内臓が透けていてグロすぎたことから命名)が誕生。

その後ナイゾウに嫁を買ってきたらオスで福ピーと同性愛に走ったり、ジイさんと孫娘ができちゃったり、こっそり不倫してみたり、モラルのかけらもない文鳥たちの笑える生活がギュッと詰まった作品。

文鳥の繁殖を描いた漫画なので、鳥たちの不慮の死もありますし、ヒナがリアルすぎるので正直気持ち悪いです。インモラルな世界が苦手な方は読まない方が無難ですね。

今市子先生が文鳥たちを連れて帰省するエピソードや徒党を組んで飛び回る文鳥たちから無残にも襲われたり、必死で人工保育を試みるも生来の不器用さでミスを連発したりと、とにかく文鳥たちへの愛情がこれでもかと感じられる。

また、今市子先生がどのような環境で漫画を描いているのか知ることができて、ファンとしては嬉しい限り。

「麗しい今市子先生のカラー絵にフンを落とすとか許さん!」

文鳥たちめ、普段であれば怒り狂うところですが「許す!かわいいから許す!」

今市子先生が文鳥に癒されているところを見て、ほぴっとんが癒される……。

ペットを飼うことができない方に特にオススメ。文鳥を手に握って描いた作品です。文鳥と一緒に暮らしている気分に確実になれる漫画です!

愛蔵版 百鬼夜行抄 尾白と尾黒

「百鬼夜行抄」の人気キャラクターである妖魔・尾白と尾黒のエピソードをまとめた作品。

尾白と尾黒とは?

2羽は今市子先生が飼っている文鳥がモデルで、メスの尾白のモデルは「福ピー」、オスの尾黒のモデルは「ナイゾウ」

「文鳥様と私」を読んだ方はより尾白と尾黒に対する愛着が増しますね。

どの話も面白いですが、やはり、「百鬼夜行抄」の主人公・と2羽が出会った「桜雀」が格別好きです。

桜雀あらすじ

飯嶋家の向かいに隣り合って建つ長谷川家と秋山家はどちらにも大きな杉の木があった。

塀を直したときに隣家の杉が塀を落としていたため両家は言い争いになってしまった。

秋山家の主人はついはずみで「くたばっちまえ、くそじじい!」と口走るが、1週間もしないうちに長谷川家の爺さんが亡くなってしまう。

そして、秋山家の主人も長谷川家の葬儀に出席したその晩に急死してしまう。

律の母・絹は長谷川家の遺族から杉の木の祟りなのではないかと相談を受けるが……。

注意点

今作は「百鬼夜行抄」の外伝ではなく抜粋ですので、本編をお持ちの方は買わなくても大丈夫ですが、ほぴっとんは尾白と尾黒の話だけ読みたい時が頻繁にあるぐらい2羽のキャラクターが大好きなので、買っちゃいました。

本棚の奥から「百鬼夜行抄」を掘り起こして何巻だったかな?と夜中本棚を漁る姿が妖怪のようだと家族にいわれたので、「尾白と尾黒」だけいついかなる時もすぐ手に取れるようにしてあります。

分厚いので読み応えはありますが、若干重いのが難点……。

怖い話が苦手で「百鬼夜行抄」が読めない方は「尾白と尾黒」はホラー度が低めになっています。ぜひ読んでみてください。

とりぱん

今市子先生のお家の文鳥が際立った個性のなので、「とりぱん」はやや地味。

野鳥を餌付けして観察するとりのなん子先生の身の丈ワイルドライフな日常を描いたエッセイ風の4コマ漫画。

バードウォッチャーとりのなん子先生の深い人生観に共感できる作品です。鳥好きの方はぜひ読んで見てください!

私家版鳥類図譜

ここからは鳥がキーパーソンとなっている作品をご紹介。

本当に鳥の図鑑ではありません。「諸星大二郎先生」の作品ですから……。

鳥の生態ではなく魂としての鳥であったり、どこにも存在しないような鳥であったり、第1羽から第6羽まで鳥をモチーフとした不思議な話が収録されています。

ほぴっとんが特に好きな羽(第1話の話の部分を羽でわと読ませるセンス)は第3羽の「鵬の墜落」です。

鵬の墜落あらすじ

鵬が飛び上がることに失敗して天の角が裂けてしまい、そのまま鵬が墜落してしまったために天地が傾き世界は暴風雨に晒されることとなった。

平和だった森に群雄が割拠し天下を取るための会議が始まる……。


「鵬の墜落」の何が面白いって中国の神話をベースに「荘子」「三国志」などの文言が飛び交う重厚なストーリーの主役が鳥というところ!

「蒼天すでに死す‼︎」と勇ましく吠えているのは大鷲なのです。

巻末に「私家版鳥類図譜」の口絵解説もありここは本当に鳥の図鑑なのでためになる!

鳥人大系

GOD手塚治虫先生の作品で、とてつもないスケールで描かれている連作の短編集。

人間サイドと鳥人サイドの話が交錯する設定の巧みさがGOD手塚治虫先生ならではの素晴らしい漫画。

鳥人大系あらすじ

原始的な生活を送っていた鳥類は進化の歪みを正すために高度な知識を与えられると人間を駆逐し次第に地球の支配権を持つようになった。

鳥類は鳥人となり高度な文明を築くが、かつての人間と同じ歴史を繰り返すように衰退の道を歩んでいく。

退廃していく鳥人の社会はやがて部族間の対立を深めていくが……。


かなりショッキングな内容だけに深く考えされられるテーマを最後までテンションを落とさず、むしろスケールを広げながらしっかりまとめています。

人類に対する痛烈な皮肉が見え隠れするクライマックスがなんとも表現しがたい重たさとブラックユーモア。

SFサスペンス色が強く、大人向けに描かれた作品です。鳥に癒されるために読む漫画ではありませんが、ある種の気付きを与えてくれ、つい心を奪われてしまう漫画です。

まとめ

「文鳥様と私」と「鳥人大系」を一緒にまとめる勇気がすごいねと言われそうですが、鳥が好きな方は鳥の何もかもが好きになりませんか?

鳥って犬や猫のように感情表現しないと思っていたので、驚きでいっぱい。

鳥を飼っている方にとっては「あるある」話で盛り上がるでしょうね。

のんびりと漫画を読みたい時のおともに、そして鳥を突き詰めるとこうなるというダークなテーマまで気分に合わせてどうぞ‼︎