「ゴールデンカムイ」は野田サトル先生による明治30年代の北海道を舞台とした埋蔵金を巡るミステリー漫画。
「マンガ大賞2016」1位受賞作品。納得の面白さ!やっとキリのいい巻数まで出たので10巻まで揃えました。
あらすじ
一攫千金を夢見て北海道を訪れた元軍人の杉元は、酔っ払いの与太話から莫大な埋蔵金の存在を知る。そして、道中で出会ったアイヌの少女・アシリパとともに厳しい大自然を生き抜きながら、同じく金塊を追う強敵と死闘を繰り広げるが……。
ゴールデンカムイの魅力
アイヌの食生活や独自の文化など、大自然を舞台にグルメありバトルありの冒険活劇!
ストーリー展開
日露戦争での鬼神の如き武功から「不死身の杉元」と呼ばれた元軍人は、とある目的で大金を欲していた。そのため、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ砂金採りに来たものの不発。
そんな中、酔っ払いからアイヌが隠した莫大な埋蔵金(=8億円相当の金塊)の話を聞く。アイヌを皆殺しにして金塊をブン盗って北海道のどこかに隠した後、その輩は死刑囚として網走監獄に収監されており、金塊の隠し場所は網走監獄を脱獄した囚人たちに入れ墨の暗号で託しているとのこと。
ホラ話だと思っていた杉元だが、おっさんから命を狙われたことで金塊の存在が真実味を帯びてきた。
殺される前に殺そうと追うが、おっさんはヒグマに殺され埋められておりその体には金塊の在り処をしるした入れ墨が彫られている。
興奮冷めやらぬ中、杉元は戻ってきたヒグマに襲われるが、アイヌの少女・アシリパに助けられこと無きを得る。
そこで、杉元は金塊が奪われた際に父を殺されたアシリパに協力を願い出て、囚人たちの入れ墨を集め始めるが、アイヌの金塊の情報を知る強敵に次々と遭遇することになる。
凶悪な死刑囚をはじめ、彼らを指揮する元新撰組副長・土方歳三や鶴見中尉率いる無敵の師団などの猛者に加え、野生の凶暴なヒグマと北海道の大自然を相手に「金塊争奪戦」を繰り広げるが……。
不死身の杉元
「不死身の杉元」の元ネタは第二次世界大戦で活躍した「不死身の分隊長・舩坂弘」さんなのでしょうか?
オカルト界では有名な方なのでピンときたのですが、杉元同様舩坂弘も傷の治りが異様に早かったようです。戦死と判断されるも、3日後に蘇生したという伝説を持つ男。
そんな杉元の戦いは生傷上等、生存本能を前面に押し出した凄まじい戦闘スタイル。
また、相手となる敵は頭のネジが大量に飛んだイかれた輩ばかりで、ストーリーをより面白いものとしている。
キャラクター設定も秀逸だが、絵も非常にスタイリッシュで素晴らしい!
ここが面白いポイント
「ゴールデンカムイ 」はメインのテーマは金塊探しですが、戦いながらサバイバルして、アイヌの文化にふれ食事をして、謎を追うという入り乱れた展開。
ジャンル分けがしにくい作品だ。ミステリーかつサバイバルバトル、かつグルメ漫画でしょう。
こういう冒険要素が強い漫画なのにグルメ推しって、斬新だ!
元軍人の杉元が知恵を借りる相棒のアシリパさんがとてもかわいくて、それだけでも読む価値がある。
ナマ肉推しのアシリパさんが味噌を「オソマ(=ウンコ)」だと信じて食す変顔。
これぞ異文化のギャップを心地よい笑いに変えた良い例。
熊と戦う漫画が読みたくて買って帰ったのですが、もはやグルメを楽しむ漫画となっている……。
アシリパさんの食に対する敬意やサバイバルの知恵など勉強になることが多い作品。
超個人的な感想
ほぴっとんは超小柄なため傘をさしているとコロポックルと呼ばれるのですよ。「そんなに小さくないわ!」といつもツッコンでいたのですが、「ほぴっとん」というあだ名も「ロード・オブ・ザ・リング」のホビットと本名を合わせたものだったりします……。
(※「コロポックル=蕗の葉の下の人」アイヌの伝承に登場する小人で3センチほどの大きさとされている。)
そういった経緯もあり以前からアイヌの文化に興味を持っていて、アイヌの独特の文様の衣装の美しさや、何よりもアイヌの刺青が超かっこいいと思っていました。
しかし、同化政策によってアイヌの人たちは今でも差別を受けており、ほぴっとんなどが声高にアイヌのことを語ると不快に思う方もいるかもと思い口をつぐんできました。
「ゴールデンカムイ」を読んで「アイヌすげえ!アイヌかっこいい!」と言っていいんだ!積年の胸のつかえが取れたような気分になりましたよ。
そういった意味で「ゴールデンカムイ」は非常にデリケートな題材を扱いながらも、自然への敬意や食の異文化交流をストレートに描いているので清々しさを感じます。
長年、アイヌを描いた漫画が読みたいと願っていたほぴっとんの胸に深く刺さった作品。完結を待たずして傑作漫画認定でしょう!
まとめ
「ゴールデンカムイ」は文化的歴史的価値も高い漫画です。
埋蔵金を巡って複雑に交錯するドラマの中に、アイヌの文化やグルメが織り込まれ、人間や熊との壮絶なバトルありのミステリー漫画。
テンポよく描かれているので読みやすく笑える。評価が高い理由がわかります。
ぜひ一読あれ!