「結界師」は田辺イエロウ先生による妖結界バトルストーリー。全35巻 完結済み (少年サンデーコミックス)
掲載誌が少年サンデーということで、大人の女性の視点から鑑賞に堪えうる作品かどうか読んでみました。
あらすじ
400年続く結界師の家に跡取り息子として生まれた墨村良守(すみむら よしもり)は、お隣に住んでいる幼なじみの雪村時音(ゆきむら ときね)とともに家業に勤しんでいた。
2人が守る烏森の地は妖怪たちを呼び寄せてパワーアップさせてしまう不思議な場所。
良守は時音とケンカをしつつ妖退治に励む日々を送っている……。
妖退治より壮絶な争い
昔々小さな土地を治めるお殿様がいましたが、殿は自覚のない異常な霊的エネルギーを持っており妖や怪異を呼び寄せてしまっていました。
困った人々は妖退治の専門家を呼んで殿と城を守るように頼みました。
それが烏森の地で結界師が妖を退治する始まりでしたが、その開祖・間 時守(はざま ときもり)は子どもを残さなかったため弟子であった墨村と雪村が後継でモメ、我こそは間流結界術の正統であると骨肉の争いを主にじじいとばばあがしています。
現在滅んでしまった烏森家の跡地には「私立烏森学園」があり、専任の結界師である墨村家と雪村家が任についています。
夜は妖たちの時間。烏森に集まる妖怪を退治するのは夜間が主戦場。
昼間は学校に通って夜は妖退治とかなりハードワークだが、パワーで押し切る良守とテクニックに秀でた時音のコンビネーションで妖を追い払います。
良守は烏森の謎とともに家同士の争いにも終止符を打とうと奮闘しています。
結界師の面白いポイント
バトルのスタイル、人間関係、妖怪のタイプの3つに分けてポイントをまとめてみました。
間流結界術とは
「間流結界術」は実用性重視のシンプルさがウリ!
「方囲」で標的を指定。
「定礎」で位置を指定。
「結」で成形・術を発動させる。
透明なバリアのような立方体で対象を囲って、「解」で解除するか「滅」で滅却します。
滅した妖はものすごい吸引力の錫杖「点穴」で吸い取りバトル終了!
斬新なアイデアの戦闘方法。
かなり応用の効く術ですね。パズルのように重ねたり長方形にしたりとバトルの幅が広がって見ていて楽しめます。
「間流結界術」は珍しい術で重宝されています。
3兄弟の関係性
兄弟間に流れる微妙な空気感に萌える!
墨村良守は兄の正守(まさもり)と弟の利守(としもり)のやや年が離れた男3兄弟です。
墨村の正統継承者は手に方印のしるしが出ます。
兄・正守に方印は出ず、弟の良守が後継となったため正守はちょっとやさぐれてダーティな方向に進みます。
そんな兄と弟の関係が読んでいてドキドキしてしまう……。
ほぴっとんは主役の良守も時音もたいしてタイプではありません。
何をやっても損な役回りのヤツっているよなと思わされる正守を応援するために読んでいまして、正守が登場する巻はギラギラして読んでいます。
彼が率いる「夜行(やぎょう)」のメンバーが個性的で面白いメンツが揃っています。
行正 薫(ゆきまさ かおる)、翡葉 京一(ひば きょういち)←超かっこいいな!、千里眼の箱田(はこた)くんはもっとフューチャーして欲しかった……。
妖怪たちに萌える
烏森に舞い降りる妖怪たちのキャラも立っていて素晴らしい!
ウロ様なんて嫌いな人いるのか?
無色沼の生え抜きの土地神であるウロ様とお付きの豆蔵のコンビは最強にかわいい!
会羽山の土地神で大天狗・黒雲斎(こくうんさい)の人間バージョンもキュート。
麗しい系ですと鷺の妖である淡幽(たんゆう)が一番。
鋼夜(こうや)や火黒(かぐろ)などかっこいい系もしっかり抑えています。
ほぴっとん的には妖ではありませんが、良守の式神であるラテン系貴公子風式神を強く推したい。一周回って斬新になる典型のお決まりですが……。
妖結界バトルストーリーと銘打たれていますから、やはり妖怪の造形は大切ですね。
結界師って不思議な漫画だ
「結界師」ってほぴっとんがとても好きな漫画なのですが、謎に思う点があります。
メインキャラクターより脇キャラの方がかっこいい人が多い。
志々尾 限(ししお げん)とか影宮 閃(かげみや せん)とか妖混じりですし、人気があるキャラクターだと思うのですが(良守も含め)、食指が動かん。全くもって……。
こういうタイプの漫画は主人公にどれだけ感情移入できるかが大事だと思うのですが……。
あれ?ほぴっとんが歳をとったせいかしら?
良守よりも扇 一郎の方がかわいく思える……。
まとめ
「結界師」は特殊な結界術を駆使して戦う明るいバトル漫画。
墨村と雪村、黒と白で対比させた設定が面白い「結界師」ですが、どう考えても墨村家にウエイトが傾いている。
独創的なヘアスタイルのじじいにもはや最強の主婦と化した父、行動はファンキーなのに能面の母、若いのにじじくさくがんばっているのに空回りする兄、そんな家族に囲まれているために異様にシビアな弟。
熱血の押し付けがないので、普段少年漫画を読まない大人女子でも十分楽しめる作品に仕上がっています。
クライマックスは切ないけれど、とても暖かい気持ちに包まれる漫画!