【金の国 水の国】 中東風ラブファンタジー漫画の世界にワープ!

「町でうわさの天狗の子」岩本ナオ先生によるおとぎ話。

今作「金の国 水の国」では、「このマンガがすごい! 2017」オンナ編1位を獲得しています。

異世界風の表紙が気になって手にとったら岩本ナオ先生の漫画だったので「こりゃ、間違いねえや!」とソッコーでレジにGo!

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あらすじ

昔々隣り合う仲の悪い国がありました。

毎日毎日、つまらないことでいがみ合い、とうとう犬のうんこの片づけの件で戦争になってしまい、慌てて仲裁に入った神様は2つの国の族長に言いました。

A国は国で一番美しい娘をB国に嫁にやり

B国は国で一番賢い若者をA国に婿にやりなさい

そんな中、A国の姫・サーラはB国の青年・ナランバヤルと偶然出会い…!?

おすすめのポイント

かなり「ゆるふわ」な設定で物語はスタートするのですが、世界観はしっかり創り込まれていて、中東っぽい雰囲気の世界に無理なく入り込むことができる作品です。

偽装結婚から始まる・・・

A国のクソ国王は美女の代わりに猫の子を、B国のクズ族長は賢者の代わりに犬の子を送りつけるのですよ。

まさに似た者同士。同属嫌悪で、仲が悪くなる一方なのでしょうね……。

商業大国で水以外はすべて手に入るA国。

貧しいものの、水と緑に恵まれ豊かな自然を持つB国。

敵対する国の男女がお互いの祖国の仲をよくするために協力しあううちに惹かれていくという、ラブロマンスの王道のテーマ

王道を覆す設定

少女漫画ならば主人公は美男美女でデフォルト済み。

(もしくは、性格のいい平凡な女子と美男子)

しかし、そうは問屋が卸しませんよ「金の国 水の国」は……。

A国の姫サーラは、100人ぐらいいる姫の中の1人にすぎず、デブでブス。

もとい、ぽっちゃり系。

B国のナランバヤルは口だけが達者な技術者。イケメンでもないし、うさん臭い容貌の男。

こんな風に映画が始まったら2時間も耐えられるかしら?と不安になる設定。

だが、人の良いサーラをナランバヤルが機転を利かせて守ったりすると一気に好感度がUP

おっとりとしたサーラの真の強さを、ナランバヤルの国を思う誠実さを目にするとだんだん2人が美男美女に見えてきます。

唯一物足りなかった点は、サーラの姉さんとA国の左大臣が意外と常識人であったこと。

シンデレラの姉さん級に意地悪であったなら、もっとスカッとしました。

ほぴっとんの心が薄汚れているからでしょうね……。

だからこそ、読後はすがすがしい気分になりますよ。

「金の国 水の国」の読後

いや、この展開の漫画をよく1冊で完結させたなーと、何度読み返しても感心しますね。

サーラとナランバヤルも魅力的なんですが、クライマックスでナランバヤルが屋根の上を駆け抜けるシーンなんて、もうこれ岩本ナオ先生が描きたくて仕様がない気持ちが伝わってくる……。

異国の風がほぴっとんのほぼ漫画しかない部屋まで吹いてきましたよ。

まあ、古いボロ家だから、窓が閉まらないからかもしれませんが……。

黎明のアルカナ

「金の国 水の国」が好みだった方には「黎明のアルカナ」もフィットすると思います。

敵国に嫁ぐという意味では「金の国 水の国」と似たテーマを描いている漫画。

あらすじ

戦火の絶えない北のセナンと南のベルクート。和平のために嫁いできた少女は王族の証ではない赤い髪をしていて……。という話。

両国では黒髮であるわずかな人間たちが王族として君臨していて、主人公のナカバはセナンの王族ではありますが、平民の色と蔑まれている赤い髪をしています。

そんな訳で赤髪の嫁などは歓迎されるはずもなく、ベルクートにおいてもナカバは難しい立場にあり、王子のシーザからも冷たく扱われるのです。

「刻のアルカナ」という過去や未来を見通す瞳をもったナカバと従者で狼の亜人であるロキとの仲に結婚相手のシーザが絡むストーリーが面白い!

ファンタジー好きの方にはもってこいの漫画です。

また、半人半獣の亜人を奴隷としている世界観なのですが、動物の身体能力を有する亜人との長年の軋轢がくすぶり始め、そこにナカバの生い立ちが絡んで展開するストーリーにハワハワさせられます。

よりファンタジー色が強い漫画を好む方におすすめ!

まとめ

「間違いない!」と思って買ってもフィットしない場合はあるワケで、その点「金の国 水の国」はほぴっとんの満足度の想定ラインを軽く飛び越えましたね。

ヨーロッパ風の漫画は多いのですが、中東風の漫画ってあまり目にしませんからとても貴重な作品。

柔らかいタッチの絵柄に、これでもかというぐらい微に入り細にわたった背景の描き込みに驚嘆されられます。

絵本のような優しい雰囲気が好きな方には鉄板の漫画!