妖怪漫画のパイオニア・水木 しげる大先生による「鬼太郎シリーズ」は漫画だけではなくアニメや映画でも親しまれています。
ほぴっとんも夢子ちゃんが出てくるアニメの第3シリーズに大変お世話になりました。
鬼太郎を語らずして妖怪漫画は語れない。今回は別格の面白さを誇る「墓場鬼太郎」をご紹介します。
墓場鬼太郎の魅力
鬼太郎といえば妖怪と人間の橋渡し的存在で、悪い妖怪を懲らしめるイメージがあります。
そんな我々がよく知るかわいい鬼太郎と違って「墓場鬼太郎」は怪奇色の強い作品!
墓場バージョンの鬼太郎はダークですよ。
顔つきがそんじょそこらのワルには醸し出せない邪悪さ。
非常に面白い漫画だが、クセが強くタッチも劇画風ですので子どもから大人までみんなが楽しめる作品ではありません。
しかし、チャレンジせず捨て置くには勿体無さすぎる漫画であることは間違いない!
あなたも心地よい気持ち悪さの虜になってみないか?
鬼太郎の誕生
なんと鬼太郎の誕生は三度楽しめる!
ゲゲゲの鬼太郎誕生編
「貸本版・墓場鬼太郎の誕生」はゲゲゲの鬼太郎の原点ともいえる作品で、どのようにして鬼太郎が生まれたのか誕生から描かれている。
あらすじ
ある日、血液銀行に勤める水木は社長に呼び出され、会社の製品の中に幽霊の血液が混じっていたと聞かされる。
その血液を輸血された患者は心臓が止まり体温がないにもかかわらず生きている幽霊的症状が出てしまうという。
調査に乗りだした水木は供給者が自分と同じ住所に住んでいると知り、家の裏のある荒れ果てた廃寺を訪れるが……。
この作品は「貸本まんが復刻版 墓場鬼太郎5巻」に掲載されている「おかしな奴」でも読めます。
こちらの文庫版の方は、冒頭8ページがカラーになっているのでより不気味さが増します。
また、講談社コミックスの「ゲゲゲの鬼太郎誕生編」の巻末にはリニューアル版として現代風に表現をやわらかくした「鬼太郎の誕生」が収録されています。
鬼太郎の片目の謎やラストなど、リニューアルしてもおどろおどろしさがちっとも緩んでいないので改変した意味があったのかとやや疑問ですが、これはこれで面白いからよし!
特に鬼太郎がなんの妖怪かということに疑問に抱いたことはないが、勝手に謎が解けてしまった。
吸血鬼と猫娘
「いやらしい奴ほど良くねむる」という名言から始まる「貸本まんが復刻版 墓場鬼太郎2巻」の「吸血鬼と猫娘」はほぴっとんの一番好きな話。
あらすじ
歌手のトランク永井氏は終電間近の有楽町駅で異様にねむりこける一人の男から目が離せなくなってしまった。
この「ねずみ男」に息を吹きかけられた永井氏はあまりの異臭に気を失ってしまう。
終点で目覚めると右腕に吸血木が植えつけられていた……。
この「吸血木」は厄介な代物で深く腕に根を張っているので切り取るには肩の付け根からバッサリとチョンパしなければならず、そのままにしておくと永井氏の血液を吸い続け、やがて「赤い木」に体を占領されてしまうのだ。
やりきれない気持ちで酒をあおる永井氏は、酒場で屍の香りを漂わす男と意気投合するが、なんと彼は2日前に地獄から帰ってきたという……。
(ここでも「地獄から帰ってきた男の話」(鬼太郎の誕生)として鬼太郎の誕生から幼少期が描かれています。)
ある日、物置の柱の間から「地獄の片道切符」を見つけた水木は夜な夜な夜遊びをする鬼太郎のあとをつけたら、本当に地獄の片道切符だったので帰るに帰れずブラブラしていた。
ここが良いですよね。ブラブラするって。他にやることがなかったのでしょうね。
ほぴっとんは水木先生のこういうブラックユーモアのセンスが大好き!
このあと鬼太郎が通う学校の校庭になぜかねずみ男がいます。
ブランコ遊びしているねずみ男がかわいい……。
グロテスク(怪奇)なものを作ることが趣味のねずみ男と鬼太郎は出会い頭からビンタとゲンコツの応酬となる。
ここから鬼太郎とねずみ男の腐れ縁が始まります。
ねずみ男がニセ鬼太郎を擁立したりしてトランク永井氏の「吸血木」のことなどどうでもよくなります。
霧の中のジョニー
「霧の中のジョニー」は傑作です。
池田首相から日本国籍を餌に、吸血鬼「霧の中のジョニー」を退治するように依頼された鬼太郎。
一方、ジョニーはねずみ男を秘書として雇い、吸血プランに邪魔な鬼太郎を始末しようとする……。
顔つきが怪異なジョニーの必殺技ギター攻撃は「墓場鬼太郎」史上一番のカオスっぷり。
それなのに長いものに巻かれるねずみ男と鬼太郎の掛け合いのテンポが呑気すぎて危機的状況を忘れてしまう。
ねずみ男の屁の威力を改めて思い知るクライマックスに笑う!
まとめ
ねずみ男の存在が本当に鬼太郎を面白くしていますよね。
やることなすこと全てがトラブルに繋がる奴ってそうはいないと思う。
そしてあの不衛生さ。本当に尻が汚い!あの妙な斑点だらけの皮膚は直視できない。
しかし、「墓場鬼太郎」では鬼太郎もねずみ男に負けてはいないのだ。
金にがめつく育ての親である水木から金をむしり取ったり、ねずみ男にいきなり張り手を喰らわせたり、人も殺すし、小1だけどタバコもふかす。
だんだん丸くなって「ゲゲゲの鬼太郎」になるわけですが、やっぱりほぴっとんは「墓場鬼太郎」の鬼太郎の方が好きだ。
ニヒルなダークヒーローであっても鬼太郎のかわいさは失われない。
ぬるい漫画に飽きた時に手に取りたくなる漫画!