「王国の子」は「真空融接」で知られるびっけ先生による歴史ファンタジー漫画。
残酷なしきたりに翻弄される王女・エリザベスと影武者の少年・ロバートに襲いかかる陰謀の数々を描いた宮廷ロマネスク。
柔らかい作風に定評があったびっけ先生の新境地であります。
あらすじ
ゼントレン国にはある残酷なしきたりがあった。それは王位継承権をもつ者に影武者を立てること。
場末の芝居小屋で役者をしていた少年・ロバートは第三王位継承権をもつ王女・エリザベスの影武者として声をかけられる。
王位を巡って陰謀と策略が渦巻く王宮でロバートは影武者として生きることを決意するが……。
影武者探し
北の大国・ネルトとの戦争中に父・ヘンリー王の影武者の存在を知ったエリザベス。
現国王・ヘンリーは6度の結婚をして、その6番目の王妃であるキャサリンが王を説得したことによって、長男のエドワードのみにあった継承権を長女・メアリー、次女・エリザベスに戻します。
ゼントレン国では王位継承権三番以内の者には影武者をあてがわなくてはならないため、急遽エリザベスの臣下ウィリアムは影武者探しの任務を与えられ、国中を探し回る。
そんな中、ウィリアムが芝居小屋で女役を演じていたロバートを見つけ王宮に連れ帰るところから物語はスタートします。
ストーリー展開
病気で身寄りがない弟の面倒を見てもらうというゲスな取引でエリザベスの影武者となったロバート。主の死後に任務を終えた影武者は優雅な年金暮らしとの触れ込みでしたが、真実は影武者の監視役によってひっそりと闇に葬られてしまいます。
ヘンリー王の死後、弱冠9歳の幼いエドワードが即位したためお約束ですが王宮は派閥争いが激化。
さらにエドワードの影武者であるジョンが成り替わりを画策したりシーモア兄弟の暗躍など、もう陰謀の総合デパートと化します。
そして、架空の存在である影武者の監視役が今後どのような役割を果たすかも気がかり。
否応無しに策略に巻き込まれていくエリザベスとロバート。
ロバートがエリザベスの立ち振る舞いを身につける中で、強まる2人の絆が深くなっていくところが見所!
王国の子 感想
「エリザベスってエリザベス1世か?」と気付いた瞬間ハワワとなりましたよ。
もちろんわざわざ架空の国・ゼントレンを舞台としているのでフィクションではありますが、モデルはイングランドでしょう。
今後、即位するのはエリザベスなのか?ロバートなのか?急に楽しみで仕方がない話になってしまった……。
「処女王」として名高いエリザベス1世ってやけにぴっちりと着込んだ服装ですし、期待が高まるわ〜。
ほぴっとんの好きなブラッディ・メアリー(血まみれのメアリー)は活躍するのかな?
ただ、ロバートはまだ少年ですがそのうち成長して男になります。見た目は18歳ぐらいに見えますが実年齢はなんと13歳。やはり女性の影武者を男性が演じるには無理がありますから、どこかでシフトチェンジする必要がありますし、それがどのタイミングで訪れるかに期待。
ヘンリー王の影武者はひっそりと葬られましたし、ロバートの先行きも気になる……。
まとめ
一蓮托生となった2人ですが、周りの大人がゲスばかりで子どもの時代に早々と別れを告げなければならなくなってしまうところがなんとも切ない話。
有事の際にはロバートがエリザベスの盾となりますから、2人の仲がよくなるほど苦しく感じる。
しかし、おぞましい世界をびっけ先生特有の柔らかいタッチで描いているので、読みやすさはあります。ほぴっとんのようにもっとドロドロで悪の巣窟のような話が好きな方には物足りなく感じるかも……。
それにしても1巻の表紙のロバートに胸キュン!
ほぴっとんはびっけ先生の描く少年が好みなのです!
「真空融接」などかわいらしい話が読みたいときは必ずびっけ先生の漫画を手に取りますが、ダークテイスト満開の「王国の子」も面白い。
ヨーロッパ風のファンタジーや歴史好きの方にもってこいの漫画!