「RiN」は「BECK」で知られるハロルド作石先生による漫画家を目指す高校生を描いた漫画。「バクマン。」と比べるとスピリチュアルに重きを置いた珍妙な作品に仕上がっています。全14巻。
あらすじ
ダラダラとした高校生活の中でエネルギーの消耗を抑え夜に備える主人公・伏見紀人。なぜなら彼には「漫画家になる」という夢があり、夜な夜な漫画を描き続けているからだ。夏休みを利用して憧れの「トーラス」に持ち込みに行くが、編集者から下された審判は「やめた方がいいんじゃない?」という重たい一撃だった。
大惨敗を喫した伏見は落ち込むが、尊敬する水野亨の漫画を読み奮起する。0から漫画描きに取り組むことを決め、プロのレベルに追いつくために夏休みの間中、描いて描いて描きまくるのだった……。
RiNの感想
漫画デビューに向けて努力する伏見の日常と凛の霊感によって導かれる謎に前世が絡んだストーリーが交錯する話。
ストーリー展開
主人公の伏見紀人(=ペンネームは伏見キノスケ)は「おれには漫画しかないんだ‼︎」と子どもの頃から漫画家を目指す冴えない高校生。
一方、ヒロインは離島在住の不思議な力を持つ美少女・石堂凛。
そして、伏見のライバル、高校生にして沢村叡智賞の大賞を受賞した天才漫画家・瀧カイト。(こいつの存在がモロに「バクマン。」の新妻エイジ。前髪のパッツン具合とか)
期待賞止まりの伏見が天才型努力家かつイケメンである瀧にどう立ち向かうか?
そして、霊感少女・凛と出会うことで、大きく変わっていく運命。
この3人を軸に伝説の漫画家・沢村叡智が日記に残した最後の言葉「トーラス」の謎を追う話。
ちょっと残念なRiN
ここまで「バクマン。」と展開が被ってしまったら差し色を目立たせるしかないと色々足してみたら、とんでもない珍作になってしまった非常にもったいない漫画……。
中盤からオカルト要素が強くなりすぎて、しかもムー民(=学研ムーの愛読者)であるほぴっとんを困惑させてしまうほどの中途半端さ。
本来ならばほぴっとんはオカルト万歳!主義なので、見方を変えると傑作になり得た残念さがある。
「RiN」は例えるならば、グラタンにパプリカパウダーを振りかけたら、シナモンだったという。ありっちゃありだけど、決してBESTなチョイスではないオカルトエッセンスを効かせてしまった作品なのだ。
正直、「RiN」の連載中は「7人のシェイクスピア」の続きを描いてくれと願っておりました。
(2017年・現在、「7人のシェイクスピア」を連載中!)
「7人のシェイクスピア」はほぴっとん的にスマッシュヒット作であったので、「7人のシェイクスピア」を100点満点とすると、「RiN」は64点ぐらいの漫画。
読むべきポイント
しかし、なぜほぴっとんが「RiN」を全巻揃えているのか?
ここまで伏線回収があやふやな漫画も昨今珍しいですよ。
沢村叡智伝説の謎はどうなったんだ?
結局、伏見と凛の関係や瀧とのライバル対決、姉ちゃんの行く末など多くを語らず全14巻で完結。
ほぴっとんは漫画を愛しています。漫画はほぴっとんの家族であり恋人であり親友です。誰と過ごすよりも長い間ともに生きてきましたから……。
そんな漫画を描く漫画家という職業を尊崇しておりまして、人生と切り離すことができない存在である漫画家がテーマの作品とあれば読まずには入られません。
「RiN」は初読では物足りなさを感じた漫画ではありますが、読み返すとこういう漫画も面白いと思うようになりました。
漫画にかける熱量、努力が報われる瞬間。そして飽くなき探究心。
伏見紀人は漫画を描いている人ってこうあってほしいという願いが具現化した存在ですよ。
「バクマン。」のようにそこそこの天才に努力されてしまったら、凡人は立つ瀬がない。(「バクマン。」の サイコーは最初から絵がかなり上手かった)
みんながみんな天才型のヒーローであったら、現在の超高齢化社会のような歪みが生まれてしまいますからね。
そういった意味で、「RiN」は簡潔明瞭、何事においても白黒つけたい人には不向き。
これは好みの問題でしょう。
「RiN」はヨーロッパの映画っぽい作品。やはり「BECK」のような雰囲気が好きな方向けの作品かな?と思います。
まとめ
「BECK」のあとの連載だけに期待が大きすぎた部分がありますが、漫画家になるための登竜門である出版社への持ち込みなど、 漫画家として伏見紀人が瀧カイトとしのぎを削る展開が面白かった。
漫画家が漫画の話を描くのは面白いですよ。本職だけに描きにくい部分はあると思いますが臨場感とリアルさが伝わってきます……。
やはり、「バクマン。」が好きな方におすすめの漫画!