「ROUTE END ルートエンド」はジャンプ+の第一回連載グランプリで最終審査に残った中川海二先生によるサイコ・サスペンス漫画!
しかし、なんたる地味さ……。
舐めきってハードルを低めに設定していたことで、的確なジャブをボディーにカマされ、足を止められてしまった……。
「ROUTE END」面白いじゃないか!
超地味なサスペンス漫画だけに、じわじわ面白さが湧き上がってくる、ほぴっとんの期待度がMAXの漫画だ!
Contents
あらすじ
特殊清掃。それは人の死が日常となる職業。一人の特殊清掃業者の青年が、「END事件」と呼ばれる連続猟奇殺人事件に足を踏み入れ…?
生と死の在り方を問うサイコ・サスペンス!
中川海二 集英社 ROUTE END 少年ジャンプ+より引用
ROUTE ENDの魅力
ストーリー展開
「ROUTE END」は特殊清掃員が連続猟奇殺人事件に巻き込まれるという、なかなか面白そうな設定。
特殊清掃業とは、事故や自殺、孤独死や殺人事件など特殊な環境で放置された遺体が腐敗し汚染された部屋などを清掃し元通りに復元するお仕事。
最近、巷で話題になっている事故物件のお掃除をする人ですね。
そんな特殊清掃員として働く主人公の春野太慈は仕事帰りに、ここ最近世間を騒がせているバラバラ殺人事件の現場と思しき家を見かける。
この「バラバラ殺人事件」というのが、死体をバラバラにチョンパし「END」というアルファベットの形状に並べて放置するという凄惨さ極めるモノ。
Nの部分の曲がり角を下腹部で、Dの曲線部分を腸を引き出して作るという、独創的かつ自己顕示欲の高い輩による犯行だ。
ここ3ヶ月に4件も、この「END事件」が相次いでいるにも関わらず、警察は容疑者さえ絞れておらず捜査は難航中。
そんな中、春野は社長から「END事件」の清掃を任される。
春野たちは現場に到着し、いつも通りの作業を始めるも、体液の染み付いた床を剥がすとそこには白骨化した遺体が……。
そして、「終わるんだ」という意味深な言葉を残して行方不明となった社長……。
謎が謎を呼ぶ展開に釘付けだ!
パッとしない漫画なのに…
昨今、サスペンス漫画はグロ全盛ですし、画力の高い漫画家と原作者が分業でタッグを組むことも多いため、そういった意味で「ROUTE END」はパッとしない漫画だ。
「ROUTE END」はストーリーも淡々と進みますし、正直絵はうまくない……。
そのため、なんとも地味な漫画となっている。
しかし、それゆえに人間の死が呪いであるのか?祝福であるのか?特殊清掃員である主人公が至る境地がどのようなものとなるのか、非常に気になる漫画だ!
あと、余談なのですが、白骨死体の横で同僚がやっているシーンがよかった ♪
ご遺体の側でご丁寧に服を全部脱いで……。
不謹慎にもほどがある。
しかし、得体の知れない恐怖に打ち勝つには煩悩が一番!
ポカンと紙一重だが、特殊な環境下で人間がとる妙な行動という意味ではリアルでよかった。
中川海二先生には、こういうセンスを大切にしてほしいと思いました♪
グロ度認定!
「ROUTE END」はグロ目的の漫画にあらず!
「END事件」なる猟奇殺人が伏線となっているだけに、グロ描写に期待していたが皆無といっていいほど……。
死体は全て鉛筆描き。
(白骨死体は、あまりの雑さに失笑……。)
ショッキングなシーンなので、あえてボカして描いているのだろうが、それにしてもひどいよ。
「多重人格探偵サイコ」や「GANTZ」に目を馴らされているほぴっとんにとっては、子どもの落書きレベルですぞ!
しかし、あえてグロ描写を描かないことによってヒヤカシ目的の読者をふるいにかけたのでしょうね。
ほぴっとんのように猟奇なホラーを楽しみにする輩に「良質なサスペンスを読んでください」との計らいに違いありません……。
そして、そういう変人を引っ張りこむほどの魅力が「ROUTE END」にはありました。
まだまだ、序盤ですので伏線をチラ見せの段階ですが、とんでもなく引きが強い漫画!
1巻のラストなんて、「くぅ。これだからサスペンスは完結してから読みたいんだよ」と続きが気になって地団駄を踏むほどの引っ張る展開!
グロ至上主義というと語弊がありますが、鮮血を愛するほぴっとんにお世辞にも上手とは言えない血痕のみで続きを買わせるなんて、中川海二先生はやり手ですよ……。
「ROUTE END」にグロはなくていい。
地味なのに……。
想定以上に面白い漫画だ!
特殊清掃員おすすめ漫画
デス・スウィーパー
特殊清掃員のお仕事をテーマにした漫画といえば、きたがわ翔先生の「デス・スウィーパー」が面白い!
清掃人(スウィーパー)がテーマなので「ROUTE END」よりも特殊清掃員の仕事ぶりがわかる。
しかも、きたがわ翔先生なので絵が上手い分、リアルさがヤバい……。
ヘビーなテーマだが、全5巻と手に取りやすい巻数!
ひとりたち
女子向けには、「オトメン(乙男)」の菅野文先生による「ひとりたち」がおすすめ!
天涯孤独の身となった野口幸が遺品整理の職に就き、母の死に向き合う話。
「孤独死」をテーマにしたシリアスなストーリーを、菅野文先生の美しい絵で堪能できる。
ちなみに「花とゆめ」なのでグロはなし!(残念)
まとめ
「ROUTE END」はサスペンス漫画なので伏線の回収次第で、傑作にも駄作にも転がる可能性がある……。
ある意味死と身近な職業である特殊清掃員の春野が猟奇殺人者と対峙した時、「死」について何を思うのか?
哲学的な様相もあり、期待してしまう漫画だ!