「死人の声をきくがよい」は、ひよどり祥子先生によるホラー漫画。
正統派ホラーなのに、ところどころでプッ!とふきだしてしまうという謎な展開と絵柄にハマった。
ナチュラルボーン・オカルティストであるほぴっとんをハフハフさせてくれる、80年代風ホラー。
伊藤潤二先生や三家本礼先生のファンにはたまらん仕上がりになっていますぞ!
あらすじ
死んだ人間の姿が見える霊感少年・岸田 純。あるとき彼の前に行方不明になった幼馴染の霊・早川涼子が現れて……。
死人の声をきくがよいの魅力
霊的なものや妖怪が見える主人公は漫画の世界にはよく存在するが、ここまでコミニュケーションがとれていない漫画も珍しい……。
怪異に巻き込まれるも、つたないボディーランゲージで岸田を助ける早川さんのかわいらしさに注目だ!
ストーリー展開
つまらない能力=死んだ人間の姿が見える
霊の姿は見えるけれど、彼らが何を伝えたいかサッパリわからない岸田少年。
彼は怪異に見舞われると鼻血がでる妙な体質で、さらに虚弱。
そんな中、行方不明になった幼馴染の少女・早川涼子が霊となって岸田少年の前に現れるのだ。
ろくなことにならないし巻き込まれたくはないが、霊側にも何か訴えるものがあるのだろうと、早川に呼ばれるままついていくことにしたが、バスにまで乗ってたどり着いたのはとある雰囲気たっぷりの一軒家。
庭先には人間の耳にたかるアリ……。
バールで殴られて気絶……。
目覚めると早川の腐乱死体……。
おおぅ〜!展開が急ピッチですぞ♪
弟から虐待をうけている姉が岸田少年の逃亡を補助するのだが、なんと彼女は養護教諭の吉本先生。
長年の投薬による副作用で脳が萎縮し、かわりに筋肉がゴリラ並みに発達したという設定の弟が人を殺しまくっているらしい……。
(まるで、「銀牙」の赤カブトそのもので、ほぴっとん好みのアイデアだ!)
しかし、どうやら弟はとっくに死亡していて、弟の妄想に取り憑かれた吉本先生による凶行だと判明。
吉本先生は自らのハラをメッタ刺しにして死亡という……。
これは、なかなかの急転直下。
正直、霊が見えるとか全く関係のない展開での幕引きに衝撃!ツカミはバッチリだ♪
そして、事件は解決したはずなのに、ずっと早川さんは岸田少年のそばにいるが……。
バテレン島の伝説
「バテレン島の伝説」とか、タイトルだけでもうお腹いっぱい……。
第二話もパンチが効いたストーリー。
郷土史研究会に所属する友人の小泉に誘われ、日帰り調査に同行することになった岸田少年。
行き先は、隠れキリシタンの伝説で知られる間吊島。
島では「バテレン祭り」なる殉教者の慰霊祭の準備が行われていて、マスコットはバテレンだるま。
一説によると、拷問にあった信者を表しているとか……。
↑ この設定ヤバくないか?
そう、生きながら手足を切り落とされたってことだもの……。そんなだるまをマスコットに抜擢するとはファンキーを通り越してロックな様相を呈している。
最強の自虐ネタになっているが、笑って良いものだろうか……?
かなり危険な香りのする祭りだ!
諸星大二郎先生の「妖怪ハンター」級の期待感が持てる♪
またしても、心霊現象に遭遇し鼻血を吹き出した岸田少年は、磯辺で先月来たばかりの駐在がご臨終しているところを発見。
(「彼岸島」の幻となったオープニング、「腐乱死体を貪る蟹」をひよどり祥子先生のホラー絵で拝めるとは感激!)
岸田少年たちはだるま様の生贄にされてしまうのだが……。
この時点で、岸田少年たちは何も知らないので、そのまま家に返してやればよかったのに、島民たちは気が動転したのか?「だるま様」のネタバラシをしてしまう暴挙。
この展開はヤバイよ……。面白すぎる!
なぜこんなに面白い…?
「死人の声をきくがよい」は、ほぴっとんのようなムー民(オカルト愛好者)にはたまらん漫画だ!
たった1話の出来事で郷土史研究会改め、オカルト研究会になってしまいますからね。
カルトな殺人事件に始まり、「大観覧車の幽霊」だとか「河童=超古代人説」を唱えてみたり、ホラーとオカルトの融合が素晴らしい!
ただ、ムー民だけが「死人の声をきくがよい」を高評価しているのではないか??という気がかりがありまして、姉と友に読ませてみました。
「ほぴっとんは好きよね、こういう漫画」と言いつつ、笑っていましたよ。
おそらく、80年代を生きてきた人には共通のオカルトに対する面白さを持っていると、ほぴっとんは推測。
ほぴっとんと同世代だと、人面犬やら口裂け女やらの騒動で耐性があるし、オカルトをシュールな笑いと受け取れる度量がある。
そして、キョンシーを知らない若い子たちには逆に「死人の声をきくがよい」のような展開は斬新で、知的好奇心(オカルト)が生まれるのではないかと思う。
一周回って新しいオカルトギャグホラー。だからこそ童心に返れる面白さがある。
絵がホラーでちょっと古めかしさがあるので、好みは分かれる漫画だとは思いますが、若い子にもぜひともチャレンジしてほしい漫画だ!
まとめ
「フロイトシュテインの双子」のうぐいす祥子先生と同じ方が描かれているのですね……。
知らんかったわ……。
どういった事情で「ひよどり」と「うぐいす」名義を使い分けているかは謎だが、鳥が好きなことだけはわかる。