前回ご紹介した「シュトヘル」の主人公・ユルールの相棒・ヤラルトゥは大鷲。
今回ご紹介する「将国のアルタイル」の主人公・マフムートの相棒も大鷲のイスカンダル。
どっちもかわいいのう……。
中東風の漫画が読みたければカトウコトノ先生の「将国のアルタイル」もおすすめです。
あらすじ
ある日、トルキエ将国の西の外れにある隣国・バルトライン帝国との国境近くで帝国の大臣が暗殺され、彼の体にはトルキエ将国の紋章がほどこされた矢が刺さっていた。
両国の一触即発の事態にトルキエ将国の史上最年少将軍になったマフムートは緊急の将軍会議に出席することになったが……。
世界観設定が面白い!
「将国のアルタイル」は明確な舞台や時代設定は明らかにされていませんが、オリエンタルな雰囲気が表紙からビシビシ伝わってきます!
トルキエ将国とは?
トルコ!トルコ!トルコ風の世界観がたまらない!
トルキエ将国のモデルはおそらく(間違いなく)トルコです。
主人公からして犬鷲のマフムート将軍(トゥグリル・マフムート・パシャ)ですからね。
将軍= パシャ
将軍会議=ディワーン
ふりがなだらけの漫画……。
トルキエ将国は国土のほとんどが砂漠と草原に覆われた遊牧の国かつ世界の富の9割が集う2つの交通の要衝に位置する商業国家。
トルキエ暦75年にマフムートが将軍になりましたから、建国してまだ若い国なのですね。
トルキエ将国において軍事と行政を司るのは13人の将軍で、そのトップに大将軍がおり徹底した能力主義で選出され、国政は週3日開催される将軍会議によって決定します。
開戦派と非戦派
今回、マフムートが初めて参加することになった緊急の将軍会議の議題は「バルトライン帝国と戦争になっちゃうかもなんだけど、どうする?」というかなり緊迫度MAXな状況。
トルキエ将国と軍事大国・バルトライン帝国の国力の差は歴然としていますが、トルキエ将国の中でも開戦派と非戦派に分かれています。
開戦派=毒薬のザガノス将軍(ゼヘル・ザガノス・パシャ)。若い。イケメン。
ザガノスさんの言い分。「どうせ帝国はずっと脅威だし、いずれ戦うなら今でしょ!」
非戦派=大都市のカリル将軍(シェヒル・カリル・パシャ)。じじい。独創的な鼻。
カリルさんの言い分。「帝国と戦力差ありすぎ、勝ち目ないし!」
ううぅ。ついザガノスさんを応援してしまう……。
過去にバルトライン帝国との戦争で母親と故郷を喪くしたマフムートは戦争を回避しようと「そもそも大臣を殺したのは誰なのか?」と声をあげるも相手にしてもらえません……。
そりゃそうだよ。
戦争するかどうかでもめているのに、犯人を探そうよと言い出したところで子どもの使いかと思われるだろう。
戦争のきっかけなんて開戦派からするとなんでもいいのですから。
このように国政の全てを将軍会議で決定するので、トルキエ将国の将軍というのは軍人であり政治家でもあるワケですね。
世界観を噛み締めて読み進めましょう……。
その後の展開
その後の展開として、マフムートはバルトライン帝国の大臣暗殺の裏に潜む陰謀に気づき、行動を起こします。
そんな中、ほぼ生贄としてカリル将軍が帝国に赴くことに……。
前言撤回でカリル将軍の男気に惚れる!
そしてマフムートは帝国内でも開戦派と非戦派に分かれているのでは?と推測するが……。
大鷲のイスカンダルを用いた独創的で非常に美しい戦闘スタイルを初披露!
マフムートとイスカンダルの活躍により事態は収束したかに見えますが、この事件はきっかけにすぎません。
やがて起こる大きな災いの幕開けとなります。
将国のアルタイルの感想
若気の至りのような危なげな行動ばかりとるマフムートにヒヤヒヤさせられっぱなしですが、なんと未熟さを指摘され将軍を降格されられます。
「あちゃー!」と思う反面、とってもとっても安心しました。
内政であれ外交であれ自分の正義感でもって行動するには後ろ盾と根回し、何よりも自分のしでかしの責任が取れないと話になりません。
若さゆえに突っ走るマフムートに共感できず、この流れがあと2〜3巻続いたら「黙れ、小僧!」とキレるところでしたよ……。
ただ一個人として自分勝手に行動したことが将軍として重大な罪であることに気づいたマフムートは、見聞を広め将軍としてふさわしい人間となるために旅にでます。
もう母の気分……。
旅立ちを陰ながら見守りましたよ。
ほぴっとんと同じくマフムートにイライラして読み進められなかった人もいるかもしれませんね。
そして、あらゆる場所で色々な人と出会い、マフムートは頭脳で戦略立てて戦争を回避する道を目指します。
こういう政治色が強く、様々な国が入り乱れる話って大好きだ!
マフムートがどのような成長をしトルキエ将国に何をもたらすのか?
期待が高まる漫画!
まとめ
やはり「将国のアルタイル」の見所は世界観設定ですよ!
トルキエ将国はルメリアナ大陸の南東部に位置します。隣国のバルトライン帝国や央海(セントロ)に面するポイニキア(燈台の都)、ヴェネディック(海の都)共和国など、それぞれの国の都市にもスポットが当てられ文化や政治形態などを細やかに伝えてくれます。
また、良く練られた戦略を楽しむ漫画ですが、オリエンタルな建物や衣装も必見です。
読めば読むほどエキゾチックな雰囲気に浸れる漫画!