ジンメン|予想に反する面白さ!戦慄のアニマル・パニック・ホラー漫画

「ジンメン」カトウタカヒロ先生によるアニマル・パニック・ホラー漫画。

ついジャケ買いしてしまったが、正直B級漫画であることを覚悟していたほぴっとん。

(だって、ほぴっとんは人面犬世代のオカルトマニアなんだもの……)

しかし、ほぴっとんの予想に反して「ジンメン」は動物たちによる現代社会への風刺が効いた良作だったのだ!

グロ推しの漫画と侮るなかれ!

ほぴっとんはグロリズム宣言中です。グロ耐性がない方は引き返してください!

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あらすじ

転校で7年ぶりに故郷へ戻ってきた動物好きの主人公、神宮マサト。
幼馴染の女子高生・ヒトミをデートに誘い、向かった動物園で2人はある異変に気付き…?

それは彼らが思いがけない世界に放り出される序章に過ぎなかった――。

圧倒的スケールで描かれるアニマル・パニック・ホラー、開園。

カトウタカヒロ 小学館 ジンメン 1巻より引用

ジンメンの魅力

ストーリー展開

「動物たちはみんなお友達!」不二サファリワールドからスタートする「ジンメン」

大空翼くんじゃないんだから……。こんなデンジャラスな発言、子供が真に受けたらどうする?

そこへ、象のハナヨは友達だから檻に入れろと騒ぐ少年・ 神宮マサト16歳。

あっさり訴えを聞き入れハナヨにスリスリすることを許可するうかれぽんチキな飼育員・中田

日本で初めて人工哺育に成功したホッキョクグマのピースだって親代わりの高市さんと過度なスキンシップを禁じられているのに、なぜお前?なぜお前?

7年のブランクをあっさり埋められる特殊能力ぶりを見せつけたいのかも知れんが、こんなところで全能感を出すな!

かなり無理のある設定にのっけから唖然としたが、このゆるさこそB級のよさだったりもする。

マサトが引っ越ししてから動物園の園長が替わり、園の方針もより集客目的へと改革され動物たちは気が立っている様子。

そして翌日、幼馴染のヒトミ(おそらくエロ要員)とデートのため再び不二サファリワールドを訪れるマサト。

マサトの奴はまたやりやがって開園前に堂々と園に入り込むが、猛獣たちに襲われる人を発見。

急いで助けを呼ぶために中田さんのいる象舎に向かうが、ヒトミは動物たちの顔に異変を感じる……。

象舎にたどり着くも、マサトに懐いているはずの象のハナヨまで「ぱおーん」し、ゴリ園長の首をチョンパする始末。

なんと、いきなり動物たちの顔が人間の顔に変わり人を襲い始めるのだ!

不二サファリワールドから逃げ延びたマサトたちは近所にあるマサトの家に向かうが、園だけではなく町中に人面動物たちが跋扈していた。

さらに、サファリワールドの動物だけではなくペットたちにも異変が……。

「ジンメン」と名乗る動物たちから急襲され、殺戮の嵐に巻き込まれる人間たち。

戦慄のアニマル・パニック・ホラー、堂々開園だ!

ジンメンを侮るな!

1巻のラストで高らかに建国宣言された「動物公国」

どうやらジンメンなる輩たちは日本国から独立して「動物公国」を樹立したいもよう……。

この瞬間、「ジンメン」がB級漫画の域を越えると確信。

いやこれ、2巻が待ち遠しすぎるだろう……。

なぜ「動物公国」がほぴっとんのハートにヒットしたか?

「ジンメン」は基本的にグロ推し漫画のお約束を踏まえた上で、人間の横暴に反旗をひるがえす動物たちの非人(動物)道的な殺戮を描いている。

(*お約束=閉鎖的環境。異形による圧倒的な殲滅行動。人間の方がゲス。)

動物側にカリスマ的なリーダーがいたら、リアルに遂行されてもおかしくない話。

しかし、ほぴっとんはもしこんなことが現実に起こったら、甘んじて受け入れますよ。彼らの言い分はごもっともでしょう。

それだけ畜生な行いを人間は動物に対して当たり前に強いてきました。

これらの人面動物たちは本来の習性を保持しつつ教科書を読んで知識を蓄えたり人語を解し会話できるようになった。

そしたらもう大人しく檻の中には収まらないワケで、人間たちは恐怖で逃げ惑う他ない……。

「ジンメン」はこれらの殺戮を人面動物たちに請け負わせていますが、 ジンメンを人間に置き換えると現在でも大義を掲げて「戦争」している国はたくさんありますから、設定が深いなと思いました。

「ジンメン」では、地震(おそらく人為的な策略)によって不二山を中心にサファリワールドの周辺が深い溝で隔たれてしまった。

いわゆるグロ推しの漫画だと閉鎖的な環境である方がよりパニックに拍車がかかるので定番の設定なのですが、「ジンメン」の世界を閉じるこの深い溝はかつてヨーロッパの植民地政策でアフリカ大陸に勝手に引かれた国境線に相当する。

「ジンメン」は人類の歴史的な国際情勢の縮図を比喩しつつ、自然界の生態系に基づいた環境問題のしっぺ返しをホラーテイストにのせて描いている。

ちょっと大げさかもしれんが、こう考えると「ジンメン」はかなりパンチの効いた漫画だ。(好みの分かれる漫画であることは否めないが……)

グロ度認定困難

「ジンメン」はテーマがテーマだけにグロい漫画なのだが、グロ度が高いか?と問われると「そうでもない」と感じる……。

確かに大量の人間が人面動物によって惨たらしく殺戮されますが、描写自体はライトだ。

同じく人間牧場が出てくる漫画の2トップといえば、「彼岸島」GANTZですが、これらの漫画に比べると「ジンメン」は大人しい方だと思う。

「彼岸島」の人間椅子・血樽は衝撃的でしたし、「GANTZ」は奥浩哉先生の画力が高すぎて凄惨さがより増していました。

「ジンメン」はグロさを認定できない……。

やばい描写はたくさんあるのにね?なぜだろう?絵柄かしら?

一応、グロ度の中程度あたりのランクに位置すると思います……。

まとめ

動物と相思相愛の神宮マサトが主人公なのだが、こいつのエセヒューマニズム?アニマリズム?にはうんざりだ。

序盤はかなりイライラさせられるが、むしろ滑稽さが際立ってきてこれはこれであり!

人面動物のセリフや薄ら笑いの表情にB級臭さを感じる漫画ではあるが、彼らが人間に感じる恐怖が伝わってきて単なるグロ漫画で終わらない予感がする……。

人間=怖い生き物=排除。

そして人面動物には成し遂げるパワーがあるとか、恐怖!恐怖!

そのうち過疎化で消失しそうなほぴっとんの住む田舎でさえ、都市化が進み自然さが失われている現在、「ジンメン」から考えさせられることは多い。