「女王の花」は「メンズ校」で知られる和泉かねよし先生による漫画。全15巻。完結済み。
古代の国「亜」の女王は、「女王の花」と呼ばれる千年に一度だけ咲き、どんな望みも叶える力を持った伝説の花を自分の墓に添えてほしいと願っていた。誰も知らない女王の望みとは……?
「二の姫の物語」に続く歴史ロマン大作「女王の花」を読むべし!
女王の花
架空の古代中国風の国・亜を舞台とした歴史ロマンで、伝説の「女王の花」を合言葉に苦難を分け合う亜国の姫と奴隷の少年の激動の人生を描いたラブファンタジー漫画。
あらすじ
亜国の姫でありながら冷遇されている亜姫は病がちな母の世話をしながらも明るく生きていた。そんなある日、亜姫は金の髪と蒼天の瞳を持つ奴隷の少年・薄星と出会う。奴隷であった薄星は「天の色」とかばってくれた亜姫に自分の一生を捧げると誓うが……。
世界設定
亜国・土国・黄国・曾国という4つの国が天下を争う時代に亜姫は亜国の姫として生まれました。
小国・黄から嫁いできた亜姫の母は正妃ではありますが、病に伏しており後ろ盾がなく母娘ともにないがしろにされています。
第二王妃である土妃は強国である「土」の王の妹で王子を産んだために権力を振りかざし、我が子の即位を企む毒婦です。
そんな土妃の元へ奴隷として贈られた薄星は胡人で金髪碧眼であったために差別されていました。
しかし、薄星は亜姫から瞳を「蒼天の蒼」髪を「稲穂の金」と褒められ、亜姫を一生の主と決めます。
その後、偶然知り合った商人・青徹から帝王学を学び、父から認められようと努力する亜姫。
皮肉にもその頑張りが父の逆鱗に触れ、母を失い国を出され何一つなくなってしまったが、唯一亜姫の手の中には薄星が残っていた……。
女王の花の感想
「女王の花」は意味深な文言から始まります。
たとえ わずかな時でもいい
年老い 皺深くなった この手に
もう一度 あの星が 還るなら
何も惜しくはない
もう なにも いらない
和泉かねよし 小学館「女王の花」1巻 より引用
ここから察するに、年老いた女王が亜姫であると仮定すると薄星臨終してますよね。
ハンカチをご用意くださいということですか?
姫と奴隷という身分を隔てる壁がエベレスト級にそびえる2人。
亜姫と薄星の淡い恋の結末が悲劇的に終わるということが推測できるスタートとなりましたが、だからこそ薄星がいつ・どのようにして亜姫の覇道の礎となるかが非常に楽しみかつ遠のいてほしいと願う話であります。
薄星は一途に亜姫を慕いつつも亜姫が女王となるためには自分が身を引かなければならないことを知ったうえで、それでも離れがたくほんのわずかな間だけ幸福な時間を過ごすとか、泣ける……。
「薄星死ぬよな〜」と思いつつ2人を応援するのは結構骨が折れます。
ほぴっとんは女子力が低いのでハンカチを携帯しておりません。
あなたも柔らかいティッシュを小脇に置いておきましょう。
二の姫の物語
「二の姫の物語」は「女王の花」と世界設定を同じくする漫画で、時代は「女王の花」の約100年ほど前の話です。
あらすじ
黄国の宰相・青氏の一人息子である青推は父から愚図と評判の二の姫に仕えるようにと強制される。
現王には王子がおらず、3人の姫のうち誰かが次の王となるのだが、二の姫は才色兼備な一の姫と皆から愛される三の姫の影に隠れてしまっていた。無能と蔑まれる二の姫の側近となってしまうと、青推の野望である宰相としての道は閉ざされたも同然だった。
それから8年の時が経ち、隣国の「土」が黄の国境を越え進軍し戦が始まると、二の姫は中軍の大将となって指揮を取ることになるが……。
二の姫の物語の感想
戦乱に時代に姫と家臣という身分違いの2人が絆で結ばれお互いを思い合う。
天に住まわば比翼の鳥
地に住まわば連理の枝ならん
白居易の「長恨歌」の一節をモチーフとした短編漫画だが、基本的にこういうストーリーってハズレがない。
結末がなんとなく想像できるからかしら?
約100ページと短いながらも、しっかり世界観を描ききっていて読後感が素晴らしい漫画!
まとめ
やがて訪れる戦乱の世に翻弄される亜姫と薄星、二の姫と青推。
「女王の花」と「二の姫の物語」はどちらも同じテーマを描いていますが、「女王の花」の方が姫と奴隷ですから悲恋度は高いです。
ヨーロッパ系のファンタジーですと、やはり騎士道精神が強いからですかね?婦女子は基本的に戦場には出ません。待つことが戦いになります。
しかし、中華系の作品って女性が剣を持って馬に乗ったり兵を率いたりするので、違った感覚で楽しめる……。
「女王の花」と「二の姫の物語」は抱き合わせで読むと面白さ倍増!
ラブ度が高めのファンタジーが好きな方にもってこいの漫画!