もはや刺繍職人・乙嫁語りで中央アジアのお嫁さんの日常を垣間見よう!

「エマ」でおなじみの森薫先生の漫画。今作「乙嫁語り」2014年度にマンガ大賞を受賞した作品。

個人的にほぴっとんはシリアの民族衣装が一番美しいと思っていまして、だからタイトルも見ずにジャケ買いしたら、森薫先生の漫画だったのでかなり驚きましたよ。

19世紀後半の中央アジアを舞台にした「美しいお嫁さん」たちの話がテーマとなっています。

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あらすじ

エイホン家のもとに山を越えて遠くの村からやってきた花嫁は花婿よりも8歳年上だった。アミル・ハルガル20歳、カルルク・エイホン12歳。そんな2人が一緒に暮らし始めたところから物語は始まります。

乙嫁語りの魅力

中央アジアについて興味はあるけれどなかなか知る機会がないので「乙嫁語り」は非常に貴重な漫画であるとともに「花嫁さん」をテーマに据えることで民俗学の勉強にもなる。

中央アジアとは?

「乙嫁語り」は中央アジアの結婚とそれにまつわる生活(刺繍)が描かれた漫画です。

中央アジアが舞台ね。ハイハイ……。って中央アジアとはどの辺よ?

このあたり地理上の空白地帯なワケですよ。ほぴっとんにとっては……。

地理に精通した方に鼻で笑われそうですが、一般常識ですかね? みなさんさらっと中央アジアの国を答えられます?

中央アジア【ちゅうおうアジア】

広義にはユーラシア大陸中央部,ゴビ砂漠からカスピ海に至る地域をさし,さらに西アジアの一部も含めることもあるが,狭義には,トルキスタンと呼ばれる地域をさす。政治上は,旧ソ連の5共和国(カザフスタン,トルクメニスタン,ウズベキスタン,タジキスタン,キルギス)と中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区を中核として,アフガニスタン,モンゴルなどにまたがる。

(出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアより抜粋)

タン、タンと似たような国名が並びますが、どうやらその範囲は曖昧らしいです。

よし、あまり深く考えないでおこう……。

ちなみに19世紀後半というと日本では幕末から明治時代あたりで1895年には日清戦争が起こっています。

世界では帝国主義が興隆を極め、各国の植民地争奪戦が苛烈さを増している時代でもあります。

ここは頭に入れておきましょう!

エイホン家の家族構成

アミルが嫁いだエイホン家はじいさん・ばあさん、父ちゃん・母ちゃん、長女・長女の婿、その子どもが4人、末っ子のカルルク。そして新たにカルルクの嫁・アミルとなっています。

文字にするとわかりにくいので、1巻のあとがきに家系図がありますからそちらをどうぞ……。

中央アジアのあたりってフワッと遊牧しているような??というイメージがありますが、エイホン家はカスピ海周辺の地方都市に定住していてアミルは北方の半定住遊牧民です。

遊牧民の社会では最後に生まれた子供が親の地位や財産を相続するので、 長女が婿をとっていますが末子のカルルクが跡継ぎということになります。

なんだか変な感じがしますけど、カルルクと姉ちゃんは年が離れているので、姉ちゃんよりも甥っ子姪っ子の方がカルルクと年が近いのですよ。

まあ兄弟が多いと自然とそうなりますけど、昔はどこもこんな感じだったのでしょうね。

また、英国人の旅行家・スミスがエイホン家に居候しています。スミスが旅をしながら日常を書き綴り、彼と様々な乙嫁たちとのが出会いが物語の軸となります。

スミスが主人公なのですよ。以外にも……。

我々は感覚的にはスミスさん側ですから、色々と勉強になります。

異文化に触れるって新鮮!

その後の展開

その後の展開として、アミルの一族がアミルを嫁に出したのは間違いであったから返せと乗り込んできたり、スミスさんの旅立ちによって出会う新たな乙嫁の登場など、非常に楽しみな展開になっていきます。

「乙嫁語り」では基本的に乙嫁の日常生活にスポットをあて、文化や風習が微細に描かれていますが、一族の争いであったりロシアの侵攻であったり社会的な情勢の変動などもしっかり描かれていて緊迫した雰囲気にハラハラさせられます。

乙嫁語りの感想

アミルの兄貴がかっこよすぎる。

嫁にもらってくれ!

しかし森薫先生も描き込みますなぁ〜。

ほぴっとんも衣装萌えですからとても気持ちがわかりますよ。

描いている最中、絶対ニヤニヤしていますね。

あとがきの漫画から興奮が伝わってきます。

兎にも角にも刺繍に気合いが入りすぎ!

もはや刺繍職人の領域に入っています。

布地や 装飾品、ちょっとした小物にまで刺繍が入っていますから。

素晴らしいですよね……。この辺りの民族衣装って……。本当に美しいです!

ほぴっとんも好きが高じてトルコに行ってしまいましたよ。

かのトプカプ宮殿で興奮しすぎて同行者との温度差を感じました。

遊牧民の衣装は馬に乗ることを前提に作られているので、長衣にスリットという萌えな形状

常に移動する遊牧民にとって家畜と衣装は財産なワケで、ジャラジャラと装飾品がくっついているので動きにくそうですが、厳しい土地柄ですから魔除けとして身につける意味合いもあります。

兜をかぶったときに頭が蒸れるから、ちょんまげにした武士よ。

合理的なのはわかるが、伝統にしないで欲しかった。

トルコ旅行の間中テンションがMAXだったので、帰国直前に足が思うように上がらず階段を転げ落ちましたが、尻を強打しただけでことなきを得てラッキーでした。

この気分を手に取ればいつでも味わうことができて、本当に森薫先生に感謝!!

まとめ

婚姻の制度ってその地域の特色がはっきり出ますから、素晴らしいテーマだと思います。

スミスさんの旅路や第5の乙嫁・パリヤさんの動向など気にかかるポイントが多すぎて楽しみ!

ほぴっとんなどはカルルクの成長を親の気分で見守っていますから、アミルとカルルクが少しずつ夫婦となっていく過程を存分に堪能したいと思います。

「乙嫁語り」は唯一無二の漫画です。こういう漫画を読みたいなと思っても見つかりませんよ。

遊牧民の生活をここまで詳細に描いてある漫画を他に知りません。

異文化が好きな方にはおすすめ!ではなく、「乙嫁語り」を読んで異文化を好きになれ!