ナチュラルボーンオカルティストかつ世界史歴女でもあるほぴっとんがドラマ性の高い歴史漫画をまとめてみました。
ミステリータッチな漫画から壮大な歴史大河、ラブやコメディまで性別を問わずに歴史を楽しめる読み応えのある漫画をご紹介いたします。
ほぴっとんは鮮血を愛する乙女なため、やや選定に偏りがあります。ご了承ください。
※注・好みのランキング順ではありません。地域別にまとめております。
Contents
Under the Rose
Under the Rose (1) 冬の物語 バースコミックスデラックス
ほぴっとん、須賀しのぶ先生の「流血女神伝」が好きで、そのイラストを手がけていたのが船戸明里先生だったんでね、何も考えず「Under the Rose」を購入したのですが、素晴らしい作品です。
19世紀のイギリス、ロウランド伯爵邸を舞台にお貴族様の家庭内事情が描かれた漫画。
「百姓貴族」で荒川先生の息子さんが初めて無殺菌牛乳を飲んだ時の状態になりましたよ。
「…………なにこれ、すごく よくて、おもしろくて…………」
ハワハワがおさまらず、母が何事かと訝しんだので「Under the Rose」を読ませたら、「北斗の拳」しか読んだことのない母が続きはないのか?と言いだす始末ですよ……。
仲良く2巻が出版されるのを待ちました。
「エマ」よりも面白い!「Under the Rose」あらすじと感想
エマ
「Under the Rose」とほぼ同時代のイギリスが舞台。森薫先生の「エマ」もご一緒に……。
ヴィクトリア朝時代のイギリスを舞台にメイドとして働くエマと貿易商ジョーンズ家の跡取り息子・ウィリアムが恋に落ちる物語。
イギリスの階級社会はえげつないですよね。差別じゃない区別だ!みたいな……。だからエマとジョーンズの関係は決して許されないわけですよ。
そんな中、オーレリアやドロテアのように理解を示してくれる人もいるわけで、温かい気持ちになれます。
リアルとロマンの程よい融合が気持ちの良い漫画。
ブリティッシュロマンス!「エマ」上流階級の男がメイドに恋をしたら?
7人のシェイクスピア
こちらもイギリスの階級社会が深く根を下ろしている作品。「BECK」のハロルド作石先生による歴史漫画。
シェイクスピアはイギリスで最も有名な作家ですが謎多き人物としても知られていますね。
チャイナタウンで暮らす不思議な少女が「7人のシェイクスピア」のキーパーソンなのですが、そこでの暮らしぶりがやけにリアルでよい。当時のリバプールの様子を実際に見てきたような描きっぷり。
ハロルド作石先生=サンジェルマン説を提唱したいほど!!
7人のシェイクスピア|謎多きシェイクスピアの空白の七年に迫る歴史ロマン。
7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT|連載再開!
第3のギデオン
舞台が変わりまして、お次はフランス!
「医龍」の乃木坂太郎先生による「新説フランス革命」が面白い♪
エロ小説家かつ反体制活動家である平民ギデオン・エーメと、かつて兄弟同然に育った貴族の青年・ジョルジュ。
フランス革命前夜。同じ志を持ちながら交錯する2人の運命とは……。
新しい感覚でフランス革命が味わえる漫画だ!
第3のギデオン|フランス革命前夜を斬新な切り口で描いた歴史漫画
レベレーション
「レベレーション」は、「舞姫 テレプシコーラ」の山岸凉子先生によるジャンヌ・ダルク漫画。
フランスの救世主としてもてはやされるも、魔女の汚名を着せられて火刑に処される少女・ジャンヌの生涯をレベレーション=啓示を交えて独創的に描いている。
社会背景や生活習慣なども山岸凉子先生ならではの綿密な描写で、非常に勉強になる漫画だ♪
レベレーション 啓示|山岸凉子が描くジャンヌ・ダルクの生涯とは?
王妃マルゴ
読んでいてこれほどイラつく漫画もないが、これほど続きが気になって仕様がない漫画も珍しい。
これこそ萩尾望都magic……。
婚期を逃し独り身をつらぬく身とあっては、「マルゴの処女=国家の財産」と言われても「へぇ、そうですか」ぐらいの感覚しかもてん……。
「王妃マルゴ」は16世紀のフランスが舞台ですから、領土拡大のための政略結婚が王家にとっての必需品。
父・フランス国王アンリ2世とメディチ家から嫁いで来た母・王妃カトリーヌとの間に生まれたマルゴ(マルグリット・ド・ヴァロワ)は大変な美貌の持ち主であったといわれています。
当時のフランスはカトリックとプロテスタント(ユグノー)の宗教対立が激化していて、王宮内でも派閥がありもめにもめている状況。
素敵な王子様との結婚を夢見る幼いマルゴは7歳の時に、カトリックによるプロテスタントの虐殺を経験します。反乱に加担した1000人以上の人間は1ヶ月に渡って処刑され、その間マルゴは腐臭漂う城で怯えて暮らすのですが、パリに帰るとまたのんきな生活が始まるのだ。
国家の一大事に恋愛至上主義。
「結婚が素晴らしいだなんて誰が教えるんだ!全くもう」
そんな中、マルゴはアンリ・ド・ギーズと恋仲になるが……。
愛に生きるマルゴの運命はどうなってしまうのか?
時代設定がおフランスなので仕方がないのですが、男尊女卑甚だしく哀れに感じる漫画。
うかれポンチキな王宮の恋愛話だと思って手に取ると、痛い目にあいます。萩尾望都先生ですよ!
モヤモヤしっぱなしなのに、読み始めたら止まらない……。
クッソ〜!思慮が足りないマルゴに超腹を立てているのに、マルゴの行く末を知っているのに、なぜ読んでしまうんだ〜!
チェーザレ 破壊の創造者
舞台が変わりまして、お次はイタリア!
「私の母は娼婦――そして父は怪物だ」
古代ローマ帝国の礎を築いた英雄・カエサル。彼と同じく全ヨーロッパ統一という野望を抱いたもう一人の男・チェザーレ・ボルジア。
現代政治学の祖・マキァヴェッリに「理想の君主」と謳われた政治の天才・チェザーレの戦いの物語。
惣領冬実先生が微に入り細にわたって、15世紀のイタリア・ルネッサンス時代に実存した英雄チェーザレ・ボルジアの生涯を漫画にしている。もうそれだけでありがたい気持ちですが、これが面白い♪
美麗な絵が淡々と続くし文字数も多い。ストーリーに起伏がないように感じる方もいるかもしれません。
しかしながら、教皇vs皇帝という権力闘争で分裂したヨーロッパは混沌の渦。
そんな中に、チェザーレはスペインの大貴族ボルジア家の次男として生まれるも、キリスト教の世界では不義の子とされる庶子でして……。
のちに父ちゃんは教皇になり、自身も18歳で枢機卿へと出世するのですが、もう陰謀と策略の権化なのですよ。
ほぴっとんのイメージだとボルジア家といえば、残忍な毒薬使いの印象が強いし、まさに血塗られた一族。
「チェーザレ 破壊の創造者」ではチェーザレと同じサピエンツァ大学ピサ校に通う世間知らずな田舎者・アンジェロをかませ犬に使って、チェーザレをカリスマ性のある魅力的な人物として描いています。
アンジェロのおかげで歴史が苦手な方でも時代背景がつかみやすい。
年に何度も読み返す漫画ではありませんが、重厚な歴史大河に浸りたい時には必ず「チェーザレ」を手に取ります。
バビロンまで何マイル
同じくチェーザレと言えば、「バビロンまで何マイル」でしょう!川原泉先生の漫画の中で一番好きなのだ!
現実主義者の月森仁希と幼なじみの真船友理は、溺れていた土の妖精グノーシスを助けたことでお礼に「ソロモンの指輪」をもらう。
その指輪が赤く光ると、2人はルネサンス時代のイタリアにタイムスリップしてしまった。
教会で祈りを捧げる美女の頭上から落ちて来たことで、天使と勘違いされた2人は彼女・ルクレツィアと行動をともにしようとするが、兄がつれ戻しにくるのだ。
そう、この兄こそが分裂時代のイタリアを制覇する野望を秘めたチェーザレ・ボルジアその人。
ルクレツィアに命を救われ、ともにチェーザレの別邸に住まわせてもらうことになるのだが……。
ある日、チェーザレ宅に押し入った刺客たちにに襲われるも、命よりも稀覯本が大事な仁希。
うっかり血だまりに足を取られて転ぶほどの鮮血上等な惨劇の中、「ミケ…ミケだよ ミケがやったんだ。この血の海はミケロットの仕業に決まっている…!」
冷静すぎる仁希のセリフで、ほぴっとんの脳内はかわいい子猫でいっぱい。ニャーニャー!
冷徹なチェーザレのイメージはそのままにゴーイングマイウェイな仁希とセットにすると、チェーザレの人間的な部分が垣間見える。
なんとも言えないのんびりとしたテンポとセリフのチョイスが川原泉ワールド全開。一家に一冊あっても損はしない傑作だ。
時代背景については詳しく描かれているので、笑いながら勉強ができる貴重な漫画!
アルテ
大久保圭先生による「アルテ」は、16世紀初頭のフィレンツェを舞台に、貴族の少女・アルテが画家工房への弟子入りを志願する話。
先月、父親が急逝したことで勃発したアルテの結婚問題。
アルテの家は貴族とはいえ、そう裕福ではなかったので持参金に困窮(金がないと良縁に恵まれない)。結婚こそが女の生きる道。そう信じる母ちゃんは焦っているのだ……。
この時代の女性にとって結婚とは、従順な子供製造マシーンになること。
しかし、アルテは自由なき安定よりも絵が描きたい!
時は、多くの職人たちによって様々な芸術が生まれ活気と華やかさに満ちた、かの有名なルネサンス時代。
職人になるには親方に弟子入りする以外に方法がないのだが、アルテは女であるという理由で門前払いの悲哀……。
そんな中、レオの工房に拾われたアルテは、彼の弟子となって画家を目指すが……。
レオ親方。若いかと思ったら、結構渋めのオジサマだった。(ほぴっとん好みだ…)
モロ故意的な差別だけではなく親切心からの無意識の差別に苦しむアルテだが、レオだけは無理難題を押し付けても女だからという線引きをしないのですよ。
アルテじゃなくてもレオに惚れるわ……。
あまりにも女性が自立することに対して理解がないこの時代に、前向きさと根性で困難に立ち向かうアルテ。
ホルモンバランスが乱れて乙女脳になっている時はカンバレと応援したくなる漫画だが、おっさん脳が優勢な時期だと感情移入は難しかった。
ほぴっとんはおっさんの時に読んで2巻は買わないかも?と思っていたのですが、乙女モードの時に既刊を一気にそろえましたから、女性の方がより楽しめる漫画かも……。
「王妃マルゴ」と読み比べて欲しいよ……。
テルマエ・ロマエ
やはりヤマザキマリ先生と言えば「プリニウス」よりも「テルマエ・ロマエ」が好きだ!
1巻の衝撃がデカかった……。数あるタイムスリップ漫画の中でも風呂に飛んじゃう話は斬新すぎた。
しかも、古代ローマ人の浴場設計技師・ルシウス・モデストゥスが現代日本の銭湯にタイムトラベルって……。
「平たい顔」の民族から得た知識の再現率の高さに笑ってしまった。
映画が大ヒットしましたし、読んでいない人はいないでしょうね……。
ヘタリア
日丸屋秀和先生による国擬人化漫画。
非常に新しい試み!
各国のパワーバランスが地味にわかるし、笑える。
国によって異なる文化の違いだったり、突出した国民性をゆる〜く描いた漫画です。
まあ、ある程度世界史を知っていた方がより楽しめる漫画ですね。
アメリカの中にヨーロッパがあると勘違いしているような人(うちの妹)だと笑うツボがわからないでしょう。
なお、ヘタリアを読んだからといって歴史の成績は上がりません。
まとめ
ドラマ性を重視するならGOD・手塚治虫先生の「アドルフに告ぐ」や水木しげる大先生の「劇画ヒットラー」を入れておかなければならないところ……。
しかし、ほぴっとんは近代の歴史に興味がないんじゃ……。
全く記憶に残っていないしね。
ほぴっとんのようにグロ度高めの歴史が好きな方には、血みどろの戦い編をまとめています。